2009年9月23日水曜日

インタビュー・環境戦略を語る:Jパワー(電源開発)・北村雅良社長

(毎日 9月14日)

全国7カ所に、総出力約840万キロワットの設備を保有、
石炭火力発電でシェアトップのJパワー(電源開発)。
地球温暖化対策の関心が高まる中、CO2を多く排出する
石炭火力を主力とする事業展開に未来はあるのか?
北村雅良社長に聞いた。

--「脱石炭」が叫ばれる中、なぜ石炭にこだわるのか?

◆石炭は扱いにくいし、使いにくい燃料。
逆説的に言うと、それだからやりがいがある。
石油やガスに比べて安価だが、普通に燃やせば
NOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)が出てしまう。
我々は、技術の進歩によって、石油火力や天然ガス火力並みに
きれいにすることができる。

集じん装置は、究極まで進歩させ、公害はもう心配ない。
今は、熱効率を徹底的に高める努力をし、
この点についてはJパワーの技術が世界一。

--横浜市で稼働した新型の発電所は、
世界最高水準の発電効率と注目。

◆大都市の真ん中で石炭を燃やすという発想に、
海外の方は目を丸くしている。
あらゆる排ガス処理装置を付けた世界最高峰の
発電プラントだからできた。

もし米国、中国、インドで、横浜と同じ発電所を採用したと
仮定すると、計算上は年間13億トンという
日本1国分のCO2が減る。
運転、保守能力も含めた石炭火力の高い技術を
海外に広げていきたい。

--温暖化防止に企業としてどう貢献していくか?

◆石炭は、石油やガスのように取り合いにならないので、
物価的、物量的に安定した資源。
大陸には、まだ石炭が山のようにあり、
欧米も石炭なしにはやっていけない。

今やるべきことは、そういう国々に
最高のクリーンコールテクノロジーを広げていくこと。
石炭を主力とすることで、社員の間にも
「逆風だ、肩身が狭い」などと言う声があるが、冗談じゃない。
社員には、「Jパワーのクリーンテクノロジーが地球を救う」、
「自信を持ってもっと磨け」と言っている。

--温室効果ガスの90年比25%削減を目指す
民主党政権が発足しますが、注文は?

◆日本1国で90年比25%削減しても、
地球全体で1%も減ったことにならない。
リーダーシップを取るには、地球全体で1割、2割削減することに
貢献しなくてはいけない。
思い切った削減目標を打ち出しただけで、
「温暖化問題のリーダーは日本だ」なんて言ってはくれない。

民主党が責任政党になるなら、日本のクリーンコール技術の
研究開発にこそ、予算を充当すべき。
それを世界に広めることで、日本1国が25%を削減することの
何倍もの効果を世界にもたらすことができる。
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◇きたむら・まさよし

東大卒、72年特殊法人・電源開発(現Jパワー)入社。
民営化準備室長、新事業開発室長、企画部長などを経て
09年6月から社長。長野県出身。62歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/09/14/20090914ddm008020027000c.html

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