(読売 9月15日)
小中学生でも楽しみながら社会人基礎力を養える「ゲーム」がある。
「ゾウ王国」の中学生4人が、机に集まって「作戦」を練っている。
「どうしよう。紙はいっぱいあるけど、切る道具がない」、
「隣の国はハサミもカッターも持ってるよ」
1人が駆け出し、隣の「チーター国」と交渉。
「すみませーん。紙とハサミを交換しませんか?」
中高一貫校の新潟県立柏崎翔洋中等教育学校で、
2年生の2学級80人が「トレーディングゲーム」を行った。
4、5人ずつの「国」に分かれ、経済成長を競うゲーム。
各国は配られた道具を使い、指定された大きさの
円や三角形などを紙に描く。
切り取ると「製品」になり、「製品取引所」で換金できる。
時間内に、最も収益を上げた国が勝ち。
生徒は得意分野を生かし、他国との交渉役や製品を作る役、
全体の指示役などを分担する。
ポイントは、各国に配られる道具が不平等なこと。
紙は多いがハサミや定規がない資源国や、
逆に道具はあっても紙が乏しい技術国。
そんな国同士の交渉と駆け引きが醍醐味に。
トレーディングゲームは、教育プログラム会社
「ウィル・シード」が開発。
船橋力社長(39)は、「社会人が何をしなければならないのか、
自然にわかる仕組み」
2002~06年度、経済産業省の起業家教育促進事業に選ばれ、
これまで全国の小中高校889校で実施。
ゲームの狙いは、
〈1〉自分で考えて行動する「主体性」、
〈2〉コミュニケーションを通じた「他者との関係性」、
〈3〉チームで役割分担する「社会性」、
〈4〉自由な発想による「創造性」
ハサミがない国はどうするか?
他国から買うか借りるか、交換するか?
同盟を結んで共有することもできる。
船橋社長は、「アイデアは無限だが、あくまで子どもたちに考えさせる」
技術国の一つで指示役をした田中麻梨奈さん(13)は、
「仕事って、みんなで協力しないと全然進まないことがわかった。
すごく面白い」と目を輝かせた。
ゲーム中は、様々な「ハプニング」が用意。
「大地震発生!作製途中の製品はすべて没収します」、
「直角三角形が増えたので価格を下げます」
ゲームを進行する「国連」役で社会人ボランティアの
春川英広さん(32)が告げるたび、
教室は「えーっ」、「うそー」と大騒ぎ。
65分間の制限時間はあっという間に終わる。
柏崎市内でギフトショップを経営する春川さんは、ゲーム終了後、
「大人でも、仕事を楽しめる人と楽しめない人がいる。
でも仕事は、やり方次第で楽しくなるものなんです」と生徒たちに語った。
2年2組担任の佐藤美穂子教諭(29)は、
「普段の授業でおとなしい子も一生懸命だったり、
いつもと違う生徒の顔が見られて勉強になった」
◆起業家教育促進事業
小中高校生に将来、自分の会社や店を持つことができることを
意識させるため、経済産業省が創造力、決断力、交渉力などを
育てる体験プログラムを募集。
起業家に求められる能力は、会社員の資質とも多く共通するため、
社会人基礎力の育成にもつながる。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090915-OYT8T00262.htm
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