(毎日 9月12日)
高校でも、社会人基礎力育成の取り組みが始まっている。
札幌市内の二つの市立高校の生徒が、市内にある
人材サービス会社「キャリアバンク」の本社で、
課題解決のプロセスを学習。
同市教育委員会が、昨年度から全日制の市立高全7校を
対象に実施している「課題探求プログラム」の一つで、
体験学習を通じて社会人基礎力を育成するのが目的。
この日の企画・運営は、同社と、同社にインターンシップ生を
送り込む小樽商科大学が担当。
札幌清田高校、札幌平岸高校の2年生計7人のほか、
同大生10人も参加。
与えられた課題は、「札幌駅前と大通駅周辺の
商業施設はどう違うのか」
高校生たちは、リーダー役の大学生と4、5人ずつのグループに
分かれ、客層や子ども向けサービスの違いについて、
仮説設定から商業施設に出向いての野外調査、
検証結果発表までを行った。
同大の岡部善平・准教授(41)によると、
高校生にとって、大学生との共同作業は、すぐ先の将来を
イメージしやすく、進路決定や職業観の育成にも役立つ。
参加した札幌清田高2年の秦史帆さん(16)は、
「意見を述べ合い、検証していく作業が面白かった。
大学生が仕事をどう考え、就職活動をしているかも聞けて、良かった」
同市教委の課題探求プログラムには、
模擬裁判や博物館でのイベント企画など、高校生向けに
計21コースがあり、今年度は高校2年生を中心に約730人が参加。
同市教委学校教育部の宮田佳幸・指導主事(44)は、
「就職が目の前にある大学よりも、高校段階から
体験学習を積み上げていく方が、
社会人基礎力を養う効果を期待できる」
群馬県立太田東高校では、2006年度から、
社会人基礎力の12要素すべての育成に、
1年生から3年生までの全学年で取り組んでいる。
チームで働く力の育成では、1年生は6、7人のグループごとに
環境や国際協力など独自のテーマを設定し、
協力して解決策を導き出す。
考え抜く力では、2年生で、希望の進路を実現させるために
今行動すべきことは何かを考え、発表したりする。
普通科や環境緑地科など4科を設置する
長野県臼田高校では、対人関係の基礎を磨くため、
今年度から1年生を対象にソーシャルスキル教育に取り組んでいる。
相手の考えを聞き、自分の気持ちを伝えることに始まり、
感情をコントロールし、相手を思いやった言動を学ぶまでのプログラム。
ソーシャルスキル教育に詳しい法政大学の
渡辺弥生教授(49)(発達心理学)は、「ソーシャルスキルは、
社会人基礎力の根幹。早い段階から訓練するほど効果的」と、
生徒の基礎力向上に向けた高校の創意工夫に期待。
◆ソーシャルスキル教育
円滑な対人関係を築き、社会にうまく適応するために必要な技能、
コツ、態度を身につける教育。
渡辺弥生教授によると、教育現場での実践では、
相手を傷つけずに気持ちを伝えるスキルや、
自分の気持ちをコントロールするスキルなどを、
児童・生徒に「伝える」、「見せる」、「させてみる」といった
一連のアプローチで教える。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090912-OYT8T00226.htm
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