2009年9月25日金曜日

東京五輪:招致の底流/中 先の見えぬロビー活動

(毎日 9月18日)

「オリンピックの発信力が大きくなり、
立候補都市の競争が激しくなった。
票集めの技術がないと、勝つのは難しい」

IOC元副会長の金雲龍氏(韓国)は、東京など4都市が
激しく争う16年夏季五輪招致に関してこう語った。

東京は、昨年6月のIOC1次選考でトップ通過。
今月2日に公表された評価報告書では、IOC調査で55・5%という
都市別支持率の低さや、五輪スタジアム周辺の交通事情などが
問題点として指摘。

東京の招致関係者は、「すべて解決済みの問題で、
致命的な指摘はなかった」と依然として計画に自信を持つ。
財政基盤も、他都市に比べて安定。

緻密な計画や財源の裏付けがあっても、
106人のIOC委員を口説くロビー活動をしない限り、
票に結びつかないと金氏は指摘。

説得材料は、必ずしも「開催意義」や「理念」だけではない。
98年冬季五輪招致では、元JOC会長の堤義明氏が、
IOCのサマランチ会長(当時)に、スイス・ローザンヌに建設する
五輪博物館の資金を確保するため、寄付の取りまとめを約束。
日本からの寄付総額は、2400万ドルとも言われる。
サマランチ氏の意向は、長野が勝利を収めた大きな要因。

02年ソルトレークシティー冬季五輪招致にかかわる
IOC委員の買収スキャンダルで、IOC委員と立候補都市の
接触が制約され、利益供与も禁じられた。
サマランチ会長が退き、堤氏も証券取引法違反で有罪判決を受け、
表舞台から姿を消した。

東京都の石原慎太郎知事は、「インタレスト(興味)が百人百様。
誰が束ねているとかじゃない。ものすごく見えにくい戦い」と
IOC委員へのロビー活動の難しさを口にした。

行政主導のロビー活動は五里霧中。
しだいに意外な国際人脈を持つJOC関係者に、期待が集まる。

赤木恭平・全日本ボウリング協会会長もその一人で、
北朝鮮や南米コロンビアなど幅広い人脈がある。
赤木会長は、「北朝鮮は、国際大会のメダル有望競技として
ボウリングのジュニアの強化に励んでおり、
日本からもプロボウラーが平壌に行って教えている」と
スポーツ交流で培った関係に自信を見せる。

JOCの竹田恒和会長らは、今月に入っても
2国間パートナーシップ協定を結ぶキューバなどを訪問。
1票ずつ積み重ねる地道な作業が、
10月2日のIOC総会直前まで続く。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2009/09/18/20090918ddm035050014000c.html

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