(日経 9月14日)
糖尿病を巡る新薬開発競争が激しい。
予備軍と患者を合わせて2000万人以上いるとされる、
日本の治療薬市場は、潜在需要が高く商機を見逃せない。
糖尿病薬大手で、デンマーク系製薬会社
ノボノルディスクファーマ(クラウス・アイラセン社長)も、
市場開拓へ新製品投入を加速。
同社マーケティング本部のビル・シュスター本部長に、
成長戦略などについて聞いた。
——足元の業績をどうみるか?
「ノボノルディスクのグローバルでは、好業績をあげている。
2009年上半期(1~6月)は北米と、日米欧・オセアニア以外の
地域が伸びて、連結売上高は255億デンマーククローネ
(約4500億円)と、前年同期比17%増えた。
成長のけん引役といえるのが、
インスリン注射剤などの糖尿病治療薬。
インスリン注射剤は31%伸びている」
「グローバル全体では、成長率が高い糖尿病市場とはいえ、
業績が伸び悩んでいる地域も。
日本・オセアニア地域での糖尿病分野の売り上げは、
デンマーククローネベースで19%増えたが、
各国通貨ベースに換算すると1%の減収。
競合他社との競争激化などを背景に、伸び悩んだのが実情」
——日本では製薬各社の競争が激しい。市場をどうみているか?
「日本は、潜在的な需要は高い。
糖尿病が強く疑われる人は900万人はいるが、
治療している患者はそのうち50%強。
効果的な新薬発売で需要を掘り起こせば、
シェアを拡大するチャンスは大きい。
日本人は、欧米人に比べてインスリン分泌量が少ない。
インスリンを分泌する膵臓内の細胞に負担をかけない
治療の重要性は高い。
我が社の主力製品で、糖尿病患者の血糖値を下げる
インスリン注射剤の需要も高いと期待」
——競争激化への対策は?
「医師への効果的かつ効率的な訪問を実現するため、
医薬情報担当者(MR)の増員や人材教育、販売促進への
積極的な資金投入など、あらゆる手立てを検討。
営業面での具体的な施策は明かせないが、対策は打ってきた」
——潜在需要の開拓に向け、効果的な新製品の実用化も欠かせない。
「患者が自分にインスリンを注射するのに、
必要な力を抑えられるペン型注入器『ノボペン4』を6月に発売、
足元でも製品群は増えている。
今後は、血糖値の低下作用が持続する成分と、
効き目が早い成分を混合したインスリン注射剤を相次ぎ発売できる。
血糖値の上がり方は患者ごとに異なり、
混合インスリン注射剤の品ぞろえが充実すれば、
患者の治療の選択肢が広がるだろう」
「革新的な治療薬の投入に向けた準備も進めている。
血糖値が高い場合のみインスリン分泌を促し、
高い血糖改善効果があり低血糖リスクを抑えられる注射剤
『リラグルチド』について承認を申請中。
次世代型のインスリン注射剤2種類についても開発を進めている。
注射するインスリンを従来品に比べ、生体内での作用動態に近づけ、
安全性を高めたのが特長。
現在、患者に投与して効き目を確かめる
第2相臨床試験(治験)を実施中。
今後は、複数国で同時に治験を進める『国際共同治験』に参加、
日本での開発を加速する方針」
——現在、進行中の開発品で当面の成長路線は固まったか?
「(来年にも)発売が見込まれる混合インスリン注射剤は
主力製品とは位置付けていないが、
品ぞろえ充実で、既存の混合インスリン注射剤で取りこぼしていた
患者を取り込める。
『リラグルチド』や、次世代型のインスリン注射剤を実用化できれば、
当面の成長基盤は整うだろう」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090911.html
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