2009年2月2日月曜日

百度の失策、グーグルに好機到来?

(日経 2009-01-22)

中国ネット検索市場で、圧倒的首位を長らく維持してきた
百度(バイドゥー)の足元が揺らいでいる。
2008年11月、国営の中国中央テレビ(CCTV)が、百度の検索結果リストに
表示されるサイトには、無免許の医薬品販売業者が多く含まれ、
免許を持っているかのように偽っている業者もあると報道。
それをきっかけに、ネット利用者の反発を買っている。

米ナスダック市場で、同社の株価は報道前の180-230ドルから
報道後は110-140ドルに落ち込み、今も同水準で低迷。
百度は、不適切と思われるサイトを検索対象から除外したと発表、
信頼回復を目指した。

ところが、除外したサイトからの広告料収入が百度の売上高全体の
10-15%を占めていたと公表、同社に対する不信感がかえって強まった。
キーワードを買っている広告主のリンクほど、検索結果の上位に
表示されるように検索エンジンを調整し、利用者がクリックする確率を
上げることで、広告料収入を最大化。
百度は、検索で広告主と一般サイトを差別していないと否定するが、
なかなか批判が収まらない。

こんな疑念が生まれる素地は、広告リンクと一般サイトが検索結果本体に
同列に並んで表示される、百度の検索サービスの特徴そのものにある。
広告リンクは、検索結果本体の上位に並んでいれば、
利用者が重要なサイトだと判断して、クリックする確率が高くなる。
明示されてはいても、混然と並んでいれば利用者には区別しにくい。

米グーグルや日米ヤフーのように、広告リンクは「スポンサーサイト」などと
題した画面上部や右端のコーナーにまとめて並べる方式だと、
とたんにクリックされる確率が下がる。
無名企業の広いリンクだった場合、どの程度重要なサイトなのか
消費者は判断できないので、クリックへのハードルは高くなる。

グーグルやヤフーは、純粋な検索結果を表示することで
消費者の支持を獲得する戦略を採用し、その路線で検索事業は収益的にも成功。
だが、百度がこの分離モデルに切り替えると、
当然ながら広告リンクのクリック率が下がり、広告収入が落ち込む恐れ。

広告リンクと一般サイトを同列表示させる方式への批判が高まったのに応え、
百度は広告リンクを別枠で表示する方式の実験を始めた。
だが、検索結果本体内への広告リンクの表示も続けている。
完全に分離するかどうかは分からない。

北京在住のある中国人投資家は、「収益を考えると、百度が広告と本体の
完全分離を実行するのは容易でない。中国のネット検索市場には、
米グーグルをはじめ2番手集団が百度を追い上げるスキがある」

グーグルは、08年夏から音楽配信サービスをメニューに加えるなど、
中国市場への最適化戦略を加速。
それでも、百度のシェアはなかなか揺るがなかったが、
願ってもない敵失に恵まれた格好。
「東アジアで勝てないグーグル」という呪縛から逃れ、
世界最大のネット利用人口を擁する市場でトップをうかがうポジションを築けるか。

前出の投資家は、「中国政府は、絶対米企業をトップにはしないので、あり得ない」
しばらく中国のネット検索市場からは目が離せない。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt090121.html

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