2009年2月6日金曜日

「2050日本低炭素社会シナリオチーム」のプロジェクトリーダー、西岡秀三さん

(低炭素社会づくり 12月24日)

やまだ:「低炭素社会」って、どうイメージすればいいのか?

西岡:炭素の排出量をゼロにする「ゼロエミッション」。
二酸化炭素(CO2)を出さない社会にする。
大切なのは、そういう社会にしようと、みんなでいつも考えて行動すること。

やまだ:本当に「人類の危機」が迫ってくるのか?

西岡:地球の温暖化に伴い、さまざまな生態系の変化が生じている。
お米ができる地域に異変が生じたり、みかんなどの果物が熟す時期と
味のタイミングが昔と変わっている。
ゲリラ雷雨や洪水、山火事など、気候変動が進むことで起こる災害が増加。

やまだ:どうにかしなければ、と感じていても、わたしたちは実践的に
何をしなければいけないのか?都会の生活を捨てて、自給自足のような
生活をしたほうがいいという考え方もあるが。

西岡:都会で昼もしっかり働き、夜も楽しむことで豊かさを感じる人もいれば、
田舎で自給自足の野菜を作ってゆとりをもって暮らすことに豊かさを感じる人も。
CO2排出量については、ほぼ同じ。
どちらが幸せかについては、個人個人の考え方による。
その選択は、個人の自由。
われわれがめざす低炭素社会は、突飛な社会ではなく、
知恵を働かせれば実現可能な社会。

やまだ:CO2を減らすために、これから何をすればいいのか?

西岡:CO2排出量を70%減らせるのか、という疑問をよく投げかけられるが、
「技術的には減らすことができる」
消費エネルギーを半分にすることによって可能。
照明で、白熱灯を蛍光灯にすれば、エネルギーは1/4から1/5に。
電気自動車や断熱住宅など、環境に配慮した商品が売り出されている。
ガソリン代や電気料金が安くなり、確実にお得。
70%のCO2排出量の削減が可能だが、なぜできないか?
それは、われわれの社会の中に、なんらかのバリアーがあるから。

やまだ:消費者の立場からいうと、情報が入ってこないように感じる。

西岡:企業の立場から言えば、新しいことをやるためにはコストがかかる。
急激にやったら社会がついていけないし、本末転倒に。
低炭素な社会ではなく、人びとが安定な気候の下で
豊かで安心して暮らせる社会。

やまだ:みんなが平和でうまくいかない限り、過激すぎてもだめ。

西岡:低炭素社会へ移行していくことが、損する人もいる一方、
ビジネスチャンスになるということを知ってほしい。
しっかり儲けている人はいるが、そういう人はあまり声を上げない。
人は損したときだけ騒ぐもの…(笑)。
低炭素社会になれば、若い人が活躍できる場が生まれ、活力あふれる社会に。
かつて産業革命で世の中が変わったように、さまざまな可能性が広がる時代。

やまだ:低炭素社会とは、単純に質素で、地味で、昔の生活に戻っちゃうのではと
思っていたので、それは無理だろうと。
でも、違う未来がある。
新しい産業やビジネスが生まれるチャンスがあると思うと、やる気が出る。

西岡:今までは、どれだけモノを持っているか、
どれだけエネルギーを使っているかが社会的なステイタス。
これからは、違うことに価値観があってもいい。

やまだ:今までとは違う発想を持たなければならないということを伝える時、
先生が気をつけていることは?

西岡:上から目線で言ってもだめ。
地域の横のつながりから、口コミで広げてもらえるところを大切にし、
一方で、どんな企業でも、経営のトップが、環境の意識を高めることが重要。
環境に配慮することが、結果的に会社の利益になることを理解してほしい。
これからの企業は、モノでしか自分たちの商売が成り立たない、
モノでしか自分たちを表現できない、というところを変えなければいけない。
電力会社は、電力を売るだけが商売じゃない、
自動車会社は車を売るだけが商売じゃない、ということを考えてみるといい。
一つひとつ発想の転換をし、今の体制を変えるためのベースを見つける。
みなさんも、自分が勝負しているものを一度やめてみた時、どうなるかを考えると、
新しい方向性が見えるかもしれない。

やまだ:高齢化社会になれば人口は減り、技術も日夜進歩するし、
自然に低炭素社会になるのではないか、という気持ちもある。

西岡:大切なのは、一人ひとりが自分に何ができるのかを考えること。
私も年齢を重ねるにつれて、次世代の若い人のために
何を残せるかということを考えるように。
低炭素社会は、地球全体の気候が安定して、みんなが安心して生産し、
生活できる社会を次の世代につなげること。
地球環境資源について、資源の枯渇や水資源の問題など、さまざまな不安が。
一つ先のことを見ながら、低炭素社会のことをやっていくことが大切。

やまだ:違う世代の人と価値観を共有しあっていくことが必要。

西岡:新しい価値をつくっていくことを考えてほしい。
モノと技術は飽和している。
低炭素社会に貢献するすばらしい商品が次々と生まれ、
企業がビジネスを広げようと思ったら、違う企業と組むことが重要に。
「業際」ということも、この改革の時代に重要。
環境の問題は、最終的に地域の話に。
NGOやNPOの人たちの活動もいろいろ進んでいる。

やまだ:低炭素社会の未来を、どう想像していくかが大切。
異なる業種や世代間で語ることやコミュニティの場がもっと必要に。
今まで、低炭素社会について難しく考えていたが、
もっと楽しく想像していいことがわかり、楽しくなってきた。

◆西岡秀三
東京大学大学院数物系研究科博士課程修了、工学博士。
旭化成工業を経て国立環境研究所勤務、東京工業大学教授、
慶應義塾大学教授、IGES気候政策プロジェクトリーダー、
国立環境研究所理事を歴任。
専門は環境システム学、環境政策学、 地球環境学。
温暖化の科学・影響評価・対応政策研究に従事。
環境省地球環境研究計画「2050年日本低炭素社会シナリオ研究」 のリーダー。

◆やまだひさし

ラジオDJ。「やまだひさしのラジアンリミテッド DX」のメインパーソナリティ、
テレビ番組のナレーション、イベントMC、映画の吹替えや声優として活躍。
環境とエンターティンメントのイベント「Re-Style LIVE」の総合プロデュース・司会、
「うちエコ!特命大使」に任命。
著書『やまだひさしの日本縦断(エコ)アンリミテッド』(ソニー・マガジンズ)。

http://www.team-6.jp/teitanso/dialogue/01.html

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