2009年2月4日水曜日

海洋資源の開発を目に大船渡でワークショップ高校生、大学生も熱心に

(東海新報 1月29日)

海洋基本法が制定されて1年半。
海洋資源の開発を目指す動きが活発化。
本県でも、三陸沿岸の海洋資源の利活用に向けて専門家を含めた
研究会を立ち上げ、その取り組みの一環で、
大船渡市で海洋資源活用の可能性を探るワークショップが開かれた。

ワークショップは、県といわて海洋資源活用研究会が主催し、
市民交流館カメリアホールに行政、企業、一般市民、北里大生や
高田高校生など約140人が参加。
海洋研究者4氏が講師として登壇、平成19年に制定された海洋基本法、
20年に策定された海洋基本計画、最新の海洋科学技術などについて講演。

東京大学海洋研究所国際沿岸海洋研究センターの道田豊教授が、
「海洋基本計画の概要について」と題し基調講演。
同氏は、海洋基本法の目的について、「日本は資源小国といわれるなか、
周りの海を利用した海洋資源の開発と利用促進がその大きな柱に」
必要な海洋科学技術の開発、海洋産業の振興と国際競争力の強化や、
「産業を育成して、新しい人材が海の世界へ入ることも一つの柱」
海洋基本計画に掲げる11の施策を具体的に説明。

海洋施策の一つとして、「大陸棚延長のための対策の推進」があり、
「ある条件を満たせば、200カイリを超えて範囲を伸ばすことができる
ルールになってきている」とし、排他的経済水域の200カイリを越えて
大陸棚の外側の限界を延長するために必要な大陸棚限界画定の調査が実施、
「今、日本の排他的経済水域ではない空白のところも、
ヒョッとすると埋めることができる。

まさに海を利用していく時代になった」と海洋開発の可能性を強調。
海洋情報の一元的管理の重要性も述べ、海洋産業の振興に関連して、
「若い方々に自分たちの将来は、海の利用開発にかかっている、
というつもりでぜひ関心を持ってもらいたい。
海が日本の救世主となるよう、研究者も頑張るので、
皆様方も関心を持っていただきたい」

東京大学生産技術研究所海中工学研究センターの浦環教授、
北里大学海洋生命科学部の三宅裕志講師、
独立行政法人海洋研究開発機構極限環境生物圏研究センターの
丸山正プログラムディレクターが講演。

浦氏は、活動が困難な深海での資源探索に欠かせないロボット開発の
必要性と、その現状について説明。
「自分で認識し、自分で行動を決めて仕事をこなすことができる
自律型ロボットの開発が急がれている」

三宅氏は、海底資源の目印となる深海生物を貴重な写真も交えながら紹介。
日本海溝がある三陸沖は、ナラクハナシガイなどが生存し、
「世界最深の化学合成生態系が存在し、重要な研究ポイント」

丸山氏は、海洋での生物共生について、シャコガイと微細藻類の研究を紹介。
「深海でのシロウリガイ類共生菌は、ミトコンドリアゲノム縮小の現代モデル」として、
生物の起源、進化解明への貴重な研究対象と指摘。

深海生物の標本なども展示され、多くの聴講者が興味津々。
高田高水産技術科2年の小山達也くんは
「人間の手が届かない深海をロボットが拓いていると聞いて驚いた」、
千葉俊二くんは、「温暖化など地球環境の変化が深海に与える
影響などもあれば学んでみたい」

ワークショップは、宮古、久慈に続いて3回目。
本県海域で想定される海洋資源として、メタンハイドレート、海底熱水鉱床、
天然ガス、石油、金などのレアメタル、波力、潮汐、深海生物など。

http://www.tohkaishimpo.com/

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