(毎日 1月24日)
12年度から中学校の保健体育で武道が必修化されることに伴い、
文部科学省は新年度予算案に自治体が整備する公立中学校の
武道場の補助費として、40億2600万円を計上。
中学校に武道の環境をどう整備するかは、大きな課題。
全日本弓道連盟では、弓道を授業で採用している中学校を調査しているが、
現在把握しているのは東京都と山口県の2校のみ。
全国には、1300カ所余りの弓道場があるものの、
弓道場を持つ中学校は少ない。
弓矢は竹で作られ、10万円以上する弓もある。
初心者には、グラスファイバーの弓やジュラルミンの矢など
比較的安価な製品もあり、5万~6万円で一式をそろえることもできる。
しかし、中学生用に作られたものはなく、重さや長さから扱いも難しい。
大手スポーツ用品メーカーが大量生産する体制にないため、
数もそろえにくいのが現状。
全日本弓道連盟の担当者は、「今後は、弓具店を統括する全日本弓道具協会と
話し合い、中学生にも使いやすい弓具を研究したい」
初めて弓道に接する中学生の体力や技術に合った、
安価な用具の開発も求められている。
元中学校教員でもある栃木県弓道連盟の桑田秀子会長は、
「弓道場がなくても、体育館に仮設で道場をつくることはできる。
矢が飛んで行った時の危険防止は、バレーのネットに防矢布を張ればいい。
競技者に古い弓矢を提供してもらったり、弓道部のある中学校や高校で
使用していない用具を貸し借りしたり、工夫次第で何とかなる」
桑田会長は、「何より重要なのは指導者です」と強調。
全国には、錬士など指導資格のある登録者が6000人以上いる。
しかし、保健体育科の教員に弓道経験者は少ない。
地域にいる指導者の派遣は不可欠といえる。
文科省は、地域連携指導実践校に全国470校を指定し、
4億9400万円の予算を見込む。
「施設」、「用具」、「指導者」の三つの課題を克服するには、
武道の現場を知る指導者たちの知恵が必要だ。
http://mainichi.jp/enta/sports/21century/
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