(東海新報 2月1日)
「地球の環境は私たちの足元から」をテーマとしたフォーラムが、
市民文化会館・リアスホールで開かれた。
環境と共生した地域づくりやビジネス展開を提言する基調講演、活動発表、
地元産のナタネ油やシカ肉利用食品などの試食もあり、
来場者は環境を大切にする身近な取り組みの重要性に理解を深めた。
「けせん環境フォーラム2008」、大船渡湾水環境保全計画推進協議会、
三陸町地域の美しい水環境をつくり守る協議会、
気仙川流域基本計画推進協議会、けせん菜の花エコネット、
県大船渡地方振興局が主催。
環境保全活動への参加を促進する目的で開催し、市内外から約160人が訪れた。
マルチスペースでの開会行事では、大船渡湾水環境保全計画推進協議会の
水野雅之亮会長が、「今後の環境保全は森・川・海に農耕地も加えて考える必要」
大船渡地方振興局の高橋克雅局長も、「環境への取り組みは、
多くの地域の方々が一歩ずつ前に進むことが重要」
「未来に残したい気仙の風景」写真コンクールの表彰式を開催。
青い海と水田、三陸鉄道の列車が調和した風景を収めた作品「夏めく甫嶺」で
最優秀賞に選ばれた村上廣一さん(大船渡市)、入選、佳作、審査員特別賞の
各受賞者に賞状などが贈られた。
基調講演では、「川がサケを思い出す日」と題し、
北里大学海洋生命科学部の朝日田卓准教授が講師。
人工ふ化放流といった増殖事業の半面、海の栄養を山に運ぶサケの
重要な役割が見過ごされている点を指摘し、森や川の豊かな自然が
漁業資源確保につながる流れを解説。
朝日田氏は山、川の栄養確保やサケの回帰率向上、漁業者との共存に向けて
0・5~1%のサケを上流に遡上させる、
稚魚数を減らす代わりに単価を上げる、などを提言。
「開発に反対するだけではダメ」として、環境保護を地域活性化につなげる
取り組みや、環境共生型のビジネスを提案。
具体的には、川上を遡上したサケを見学する旅行企画や、
二酸化炭素排出権取引の活用などを提言。
太陽光エネルギーを活用した港湾事業など、既存設備を再整備することによる
新たな産業創出の可能性にも触れた。
活動発表では、生出地区コミュニティ推進協議会、川の駅よこた、
北里大学海洋生命科学部、大船渡市地域婦人団体連絡協議会、
三陸町婦人会綾里支部の計5団体が、日ごろの取り組み成果を説明。
午後の講演では独立行政法人・森林総合研究所東北支所の
掘野眞一生物多様性研究グループ長が、ニホンジカの生態などについて解説。
シカ肉カレーやナタネ油を使ったお菓子、けんちん汁の試食が行われた。
シカ肉は、「思ったよりもクセがない」、ナタネ油を使った食品も好評。
香ばしさに誘われるかのように、来場者の長い列ができ、
忙しさに追われた関係者も普及に手応えを感じていた様子。
廃油を使ったキャンドルづくり体験も企画、けせん菜の花プロジェクト、
里ジカ対策などの取り組みをパネル展示で紹介。
見学した来場者は、環境保護を地域活性化や産業振興につなげる動きに理解。
http://www.tohkaishimpo.com/
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