(日経 1月20日)
会議の発言や業務連絡で、「相手に言いたいことが伝わらない」と悩む
ビジネスパーソンは多いはず。
短時間で簡潔に話す会話整理術を学べば、相手の記憶に残り、
好印象を与える話し方ができる。
「主題は17秒」、「1発言は1分以内」と指摘する専門家に
短時間話法のコツを伝授してもらう。
◆パンネーションズコンサルティンググループ 安田正社長
「人間の短期記憶は、17秒が限界。話の趣旨を17秒にまとめて話そう」
「言いたいことが確実に伝わる—17秒会話術」(明日香出版社)の著者である
安田正さんはそう指摘。
認知心理学の実験では、相手の発言が18秒を超えると、
冒頭の言葉から順に忘れてしまう。
会議のプレゼンテーションや職場での連絡などで、「話が長くて分かりにくい」、
「それで一体何が言いたいの?」と言われた経験がある人は多いだろう。
それは、自分の話をきちんと整理していないことが原因。
安田さんは、「まず話の筋道を予告して、相手に聞く準備をしてもらうことが重要」
その時間が17秒だ。
例えば、「プロジェクトの懸案事項について報告します。
懸案は2つあって、予算と納期です」。
こう予告すれば、話の枠組みが相手に伝わる。
新聞の見出しや雑誌のタイトルだ、と考えれば分かりやすい。
後は具体的な内容を説明し、枠の中を埋めていくことで話を整理。
内容は、「階層話法」で伝えよう。
第1階層はテーマ分け、第2階層はテーマごとの具体例や理由を説明。
例えば、「予算は、当初の200万円から150万円に削減されます。
納期は、2月の予定が3月にずれ込むかもしれません」と
テーマを簡潔にまとめるのが第1階層。
第2階層では、「予算が減らされた理由は…… 。納期が遅れる場合に備えて……」
など具体的な理由や対策を説明していくパターン。
こうした話法は単純だが、我々の会話の中であまり使われていない。
安田さんは、「日本人は、普段から話が相手に伝わることが当たり前と考えて、
論理的なコミュニケーションを訓練していない」
どんな訓練をすればいいのか?
本の一文など長い文章にタイトルを付け、内容を表やグラフなど図解で示す。
17秒の予告と、階層話法に基づいて文章を整理し直す。
これを繰り返せば、「論理的な思考法も身に付くようになる」
◆話し方研究所 福田健会長
「まず1分間にうまくまとめる—話し方超整理法」(日本実業出版社)の著者、
福田健さんは、「会議などでの発言は、1分間が原則」
「話を整理すれば、1分間で言いたいことは伝わり、
長くなるほど相手は飽きてしまう」
1分間の会話を文字数にすると、300—350文字。
新聞記事だと30行程度。
実際に時間を計って新聞を1分間読んでみるなど、時間感覚を磨く訓練が有効。
やってみると、1分間は意外に短く、相手に伝えるために
会話の要点を整理する必要が出てくる。
1分間話法の基本は、「三角シナリオ法」。
「言いたいこと、主な内容、理由・具体例」の構成で、簡潔に話す手法。
1つ1つの文章を短くし、句点の「。」で終えるようにする。
文章と文章の間は、意識的に接続詞でつなぐことが重要。
例えば、「他に優先する仕事があって、まだ書類ができあがっていないので、
今日の会議には報告できません」というより、
「書類がまだ完成していません。なので、今日の会議では報告できません。
なぜなら、他に優先すべき仕事があったからです」
接続詞を使うことで、要点と理由を整理して話すことができ、会話がより簡潔に。
人前で話すのが苦手で、あがってしまう人も多いだろう。
福田さんは、「あがるのは、相手に伝えたいという意欲の表れであり、
むしろ緊張するくらいが相手に伝わりやすい」
話の長い人は、「自分は話がうまい、と勘違いしている自己陶酔タイプが多い」
本人が気付いていないようなら、指摘してあげる必要も。
話を相手に伝えるための最大の心構えは、「相手の身になる」こと。
相手がどう感じているのか、自分に何を求めているのかを常に考えながら話す。
それがコミュニケーションの基本。
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090120.html
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