2009年2月7日土曜日

早食い防止:一口30回かんで健康に 唾液分泌…肥満、脳の老化、虫歯予防

(毎日 2009年1月30日)

慌ただしい現代社会、急いで食事をかきこむ癖のついた人は多い。
早食いは健康に良くないと聞く。
早食いの影響や、ゆっくり、よくかむためのアイデアを調べた。

◇時間かけて食事 歯ごたえある食材利用

大阪大の磯博康教授(公衆衛生学)らは、30-69歳の男女3287人を対象に、
早食いと肥満の関連を調査。
早食いで満腹まで食べる人は、そうでない人に比べると、
肥満度を示すBMIが25以上の「肥満」になるリスクは約3倍。

人は食事をすると、血糖値が上昇し、満腹中枢が刺激されて食事をやめる。
早食いの人は、満腹を感じる前に多く食べてしまうため、
エネルギー摂取量が多くなる傾向。
磯教授は、「早食いと怒りや疲れなど精神的ストレスも関係。
慢性的にストレスを感じている人は、高カロリーの食べ物を好む傾向」

埼玉県戸田市文化会館で、65歳以上の男女11人がリズムに合わせ、
口をとがらせたり、すぼめたりする運動。
頬の筋肉を動かすなど、12種の動きを取り入れた「お口の健康体操」。

指導する埼玉県歯科医師会の白根雅之・歯科医師は、
「よくかむと、あごの骨や筋肉が動いて血液循環が良くなり、
脳細胞の動きが活発になり、脳の老化を防ぐ。
口に入れた食べ物が小さくなるので、のどに物が詰まりにくくなり窒息予防に」
参加した女性は、「毎朝、食事前に体操している。
口の周りが軽くなり、おいしく食べられるようになった」

体操には、あごの下の唾液腺を刺激する運動を取り入れている。
唾液に含まれる酵素「アミラーゼ」は、でんぷんを分解し、胃腸の負担を減らす。
口の中の汚れを洗い流し、歯の表面をきれいにする。
口の中を常に中性に保とうとする作用も。
唾液は、かめばかむほど出る。

ハンバーガーやカレー、牛丼、ラーメンなど軟らかく、食べやすい食事は、
忙しい人にはとても便利。
日本咀嚼学会元理事長の斎藤滋さんは、時代とともにかむ回数が
どう変化してきたかを、当時の食べ物から推測。
現代人が1回の食事でかむ回数は、弥生時代の6分の1以下、
食事時間も5分の1。
戦前と現代を比べてもかむ回数、食事時間とも半分以下に減っている。
出版社「学校食事研究会」は、よくかむことの効能を八つ掲げ、
それぞれの頭文字をとって「卑弥呼の歯がいーぜ」とのキャッチフレーズ。
弥生時代後期の女王、卑弥呼にちなんだ。

毎日の食事で、どうやって早食いを防止すればいいか?
(1)一口で食べる量を少なくする、
(2)30回かむ、
(3)一口飲み込むごとに、はしを置く

メニューから工夫することも。
歯ごたえのあるレンコンやゴボウなど、食物繊維の多い野菜や小魚を加えたり、
白米に玄米を混ぜるのがお勧め。

「会話を楽しみながらゆっくり食事をすると、親近感も深まる。
子どものころから身につけることが大切」
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◆よくかむと期待できる8大効用
◇ひ 肥満予防=少量で満腹感が得られ、ダイエットに
◇み 味覚の発達=食べ物本来の味が分かる
◇こ 言葉の発音はっきり=あごが発達し、歯が正しくはえ、かみ合わせが良い
◇の 脳の発達=脳細胞の動きを活発化。ぼけ防止にも
◇は 歯の病気予防=唾液がたくさん出て歯周病や虫歯を予防
◇が がん予防=唾液には発がん物質の働きを抑える物質が含まれる
◇い 胃腸快調=よくかむほど消化酵素がたくさん出て、胃腸の負担を軽減
◇ぜ 全力投球=奥歯をぐっとかみしめ、力いっぱい遊びや仕事ができる
※学校食事研究会発行「学校の食事」などから作成

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/1/30/90818/

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