(読売 8月23日)
21階建てビルの3階エレベーターホールに立ち、
ビル中央部を屋上まで貫く、吹き抜け空間を見上げる。
高さ約100mの最上部に、丸い鏡がずらりと並び、
太陽光を反射してギラギラと輝いている。
横浜市西区のオフィスビル「みなとみらいセンタービル」では、
吹き抜け空間と鏡を組み合わせて、自然の光を照明に使う
仕組みが本格採用。
「朝から夕方まで、太陽をフルに利用する。
吹き抜けの周囲にある廊下の照明電力を2割減らす効果がある」
建設を手がけた大成建設設計本部シニアアーキテクトの
峰村雄一さん(42)。
ビルが高層になればなるほど、吹き抜けを作っただけでは、
天窓からの光が下層階に届きにくくなる。
同社では、3種類の鏡を使って、各フロアに太陽光を行き渡らせる。
屋上の「1次ミラー」が、太陽の動きに合わせて自動的に角度を
変えながら日光を集める。
その光を反射させ、吹き抜け内へと送り込むのが「2次ミラー」。
吹き抜けの壁に下層階まで細長く張られ、
各フロアに光を届けるのが「3次ミラー」。
1次、2次ミラーは、直径1m20cmの円盤形、16台ずつ設置。
3次ミラーは、表面に細かな突起があるアルミ板、
建物内に柔らかい光を誘導。
この採光システムにより、照明電力が節約でき、
吹き抜けが屋内の熱気を逃がす換気塔の役割を果たし、
大型換気設備を設ける必要もなくなる。
屋上緑化やガラス窓の遮熱化などの工夫で、
ビル全体のCO2排出は同規模のビルより約3割少ない。
ビルは、環境に優しい建物を認証する横浜市の制度で、
最高のSランクを取得。
排出3割減は、様々な省エネ設備の組み合わせで実現、
吹き抜け効果が大きいとまでは言えない。
「明るい吹き抜けを見ると、人は気持ちが安らぐ。
自然光を取り入れることは、省エネ効果以上の『効果』がある」
今後も、太陽光の可能性を追求していきたい。
◆オフィスビルのCO2排出量
環境省などによると、08年度、オフィスビルなどが排出した
CO2量は2億3500万トン、1990年度比で43%増。
冷暖房や照明、オフィス機器が、ビルのエネルギー消費の約70%。
東京都は、排出削減のため大規模なオフィスビルなどを対象にした
排出量取引制度を、今年4月に導入。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/saizensen/20100823-OYT8T00519.htm
0 件のコメント:
コメントを投稿