(毎日 8月27日)
文部科学省は、今後10年間の国のスポーツ政策の指針となる
「スポーツ立国戦略」を発表。
五輪で過去最高のメダル獲得の目標を掲げ、
引退後のトップアスリートが地域の総合型クラブで指導するなどの
施策を盛り込んだ。
今後、戦略をもとに、61年に制定されたスポーツ振興法を見直した
スポーツ基本法の整備やスポーツ庁創設を目指す。
戦略では、国民のスポーツ実施率などを向上させるスポーツ機会の創造、
世界で競い合うトップアスリートの育成・強化、
スポーツ界における透明性や公平・公正性の向上--など
五つが柱になった。
育成・強化面では、ジュニア期からの強化体制づくりを掲げ、
日本スポーツ振興センターの機能強化や、
ナショナルトレーニングセンターのあり方を、
日本オリンピック委員会や日本体育協会などの意向を踏まえて検討。
最近の日本相撲協会の問題を受け、
「一部の団体のガバナンス(統治)に疑問、批判があり、
国民にスポーツ団体全体に対する信頼を失わせる危険性がある」
という指摘を追加。
スポーツ団体の代表、学識経験者らによる有識者会合を設置。
団体の組織や運営体制のあり方についての指針となる
ガイドラインを策定、国からの補助、助成金の内容に反映させる。
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◇政府主導の強化、JOCに危機感
国のスポーツ政策の指針が決まった。
文部科学省の「スポーツ立国戦略」。
選手強化について、文科省の外郭団体である
「日本スポーツ振興センター」(NAASH)の機能強化などが盛り込まれ、
JOCなどスポーツ界には、政府主導という懸念が残ったまま。
選手強化について、文科省の7月の原案では
NAASHの機能強化に言及。
JOCは、「選手強化の執行主体はJOC、日本体育協会と
その加盟団体であり、国やNAASHはそれをサポートする立場」
という反発する意見を提出。
最終的な戦略の中で、文科省はNAASHについて、
「支援機能の強化と体制整備」と表現を改め、
鈴木寛・副文科相は、「NAASHが仕切る、と受け止められているようだが、
私にはそういう考えはない」と火消しを強調。
これまで選手強化は、JOCが「ゴールドプラン」などを策定し、担ってきた。
昨年の「事業仕分け」で、JOCへの今年度の補助金は削減、
「マルチサポート事業」という国の選手強化策に、
前年の6倍もの予算が充てられた。
鈴木副文科相は、「マルチサポートを含め、
JOCの実質的な強化費は増えている」、
この事業の主体はJOCになく、市原則之専務理事は、
「金の流れが、力の流れになってくる可能性がある」と危機感。
五輪で過去最多のメダル獲得、という目標を掲げたスポーツ立国戦略。
具体性はまだ未知の世界だが、華々しい目標とは
逆の危機感をもはらんでいる。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/08/27/20100827ddm035050121000c.html
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