(2010年8月21日 毎日新聞社)
できる限り介護の世話にならないようにする「介護予防」。
青森市の高齢者団体では、筋力トレーニングで効果を上げ、
持病や後遺症を抱える会員の多くが、歩行や軽い運動を
支障なくできるようになっている。
所在が分からない高齢者が各地で報告されるなか、
同世代の社交の場としても定着、地域に欠かせない存在。
トレーニングマシンの利用やマットを使ったバランス訓練--。
県立保健大体育館(青森市浜館)は、月曜と木曜の午前中、
「杖なし会」(中村和雄会長)の体力作りの場に変わる。
会員66人の平均年齢は、74歳。
友人と談笑しながら毎回2時間、汗を流す。
約3割は人工関節を入れていたり、後遺症でまひがあったりする。
このため、専門家が支援する。
保健大理学療法学科講師の三浦雅史さん(39)は、
トレーニング全体を指導し、ボランティア約10人が補助。
保健師が血圧や脈拍を測って、体調に合わせてメニューを調整。
3年前、消化器の病気で体重が20kg以上落ちた
遠間正男さん(78)は、「トレーニングが何よりのリハビリに。
最近は、調子がよくて仕方ない」
マシンで腕を鍛えていた石沢トキさん(78)は、
「定年後に歩かなくなったので、5年前に参加した。
みんなで一緒にやるのが楽しい。一人なら続かなかった」
元々、高齢者の筋力向上を目指した04年の県モデル事業。
「手すりを使わず、階段を上れるようになった」などと
報告が相次いだが、3カ月で終了。
初めから期間が決まっていた。
「もっと続けられないだろうか」。
参加者らは、事業の監修者だった三浦さんの協力を得て引き継ぎ、
05年5月に会を設立。
県の事業費はなくなったため、週1回の参加は月額3000円、
週2回は5000円をもらい、運営費を賄う。
年金などから払う人も多く、趣旨に賛同した保健大が
会場を無料で提供。
三浦さんは、「多くの高齢者は、普段は運動をしていないので、
逆に短期間で効果が出る」と分析。
半身まひを克服して、杖なしで歩けるようになった会員も。
80代の女性は体力を付け、10年ぶりにスキーを楽しんだ。
トレーニング後、カラオケに行ったり、飲食したりするグループも。
休んだ友人を心配して自宅へ行き、病気で倒れているところを
発見した会員もいる。
「1人暮らしの会員も多く、常に誰かが気にかけていることは心強い。
所在不明になる会員は出ないでしょうね」
三浦さんが、和やかな口調で断言。
問い合わせは、三浦さん(電話017・765・2082)。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/23/124297/
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