2010年9月3日金曜日

カキいかだヒント、海洋発電の新システム

(読売 8月26日)

海に浮かべたいかだから、ワイヤのように発電装置を
海中に垂らし、波や海流を利用して発電する、
海洋エネルギー発電の新システムを、
広島大大学院の陸田秀実准教授(39)らのグループが考案。

竹製のいかだに、ワイヤを垂らすカキいかだから、
ヒントを得たといい、2011年に広島湾で実証実験を実施、
5年後の実用化を目指す。

力が加わると、電圧が発生する性質を持つ、圧電素子を利用。
陸田准教授らは昨年3月、フッ素化合物で作られた圧電素子を、
0・11mmまで薄くした「圧電フィルム」を、柔軟なシリコンとともに
層状に重ねて、発電の効率を従来の数倍から100倍近くまで
向上させることに成功。

これを束ねて、短冊状の発電装置(縦30cm、横5cm、厚さ5mm)を作り、
ワイヤのようにつないで、いかだから海中に垂らす。

カキいかだの形にしたのは、波の力を柔軟な構造で
受け止められるようにするため。

陸田准教授は、カキいかだの並ぶ、広島湾の風景を
眺めている時に、ひらめいた。
従来の海洋エネルギー発電は、波や渦、潮汐など、
特定の力を利用していたが、すべてを発電に利用できるのが特長。

標準的なカキいかだと同じ縦10m、横20mのいかだ本体に
発電装置を張り付け、さらに長さ10mのワイヤ状につないだ
発電装置を600本下げることで、一般家庭約10世帯分の消費量に相当、
年間4万3800kw時の発電が可能。

発電の効率は、風力発電と同等、費用は太陽光発電の半分程度。
独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」の
先導研究に選ばれ、陸田准教授らは実用化に向けて、
発電用のいかだの試作を進めている。

陸田准教授は、「発電効率の悪かった海洋エネルギー発電の
発展につながる可能性を秘めている。
いずれは太陽光発電などに並ぶほどに普及させたい」

◆圧電素子

力が加えられて生じたひずみを電圧に変換したり、
逆に電圧を加えるとひずみが生じたりする「圧電効果」の性質を持ち、
電子ライターの点火装置や、スピーカーなどに使われる。

駅の改札口に圧電素子を敷き詰め、乗客が改札を通過する際に
生じる振動で、電気を起こす実験が行われ、話題となった。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100826-OYT1T00810.htm

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