(読売 8月18日)
ブロッコリーの花芽をはさみで切り、バラバラにしてすり鉢でつぶす。
食塩水など数種類の溶液に溶かした後、
エタノールの入った試験管に流し込むと、細い綿のような繊維が現れた。
「白い濁りが、遺伝子であるDNA(デオキシリボ核酸)。
試験管へ入れる際に、泡立てないのがコツ」
最先端の理科実験出前授業などを手がけるリバネスが、
札幌市内で開いた無料研修会。
白衣のスタッフの説明を真剣にメモする7人は、中学・高校の教師たち。
研修で紹介したDNA抽出実験は、20分足らず。
教師から、「DNAだと証明するには?」、「ほかに使える材料は?」
といった質問が相次いだ。
札幌市立八条中の伏見和弘教諭(40)は、
「新しいテーマをどう取り上げるか、ヒントを得た。
身近な材料で、実験ができそうです」と満足げ。
新学習指導要領で、中学3年で遺伝子の正体がDNAである、
と触れるようになった。
同社は事業PRを目的に、無料研修会を2003年から関東、関西で
開いているが、今年から教員の要望に応え、
回数を昨年の4回から12回以上にし、沖縄、北海道など開催地も増やす。
沖縄では、小学校の教師も加わり、参加人数は定員の20人を上回った。
学校教育用理科機器メーカーなどで作る日本理科教育振興協会は、
実験器具や教材を授業で広く使ってもらおうと、
「小学校教師のための理科実験セミナー」を、大阪教育大学で開いた。
新学習指導要領に盛り込まれた新しい内容に焦点を絞った内容で、
約30人が参加。
参加費は1000円、すぐに授業で使える教材など“おみやげ”もいっぱい。
6年で習う「電気の利用」に、新たに盛り込まれた手回し発電機の実験も紹介。
大阪市立酉島小学校の坂本拡介教諭(29)は、
「手回し発電機は、学校に大量に届き、困っていた。
これで、学校へ戻ったら、先生方に指導できます」
新学習指導要領では、40年ぶりに実験・観察の時間が増え、
年間にすると、小学校で約1・2倍(55時間増)、
中学で約1・3倍(95時間増)に。
09年度、自公前政権下の超大型補正予算で、理科設備費として
小・中・高校1校当たり約100万円が支給。
具体的な指導方法については、現場に委ねられ、戸惑うケースも少なくない。
実験・観察が多く盛り込まれ、「実感の伴った理解」へ向けた、
理科教育の各地の取り組みを報告する。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100818-OYT8T00190.htm
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