2010年8月29日日曜日

実感する理科(1)業者の研修 実験に自信

(読売 8月18日)

ブロッコリーの花芽をはさみで切り、バラバラにしてすり鉢でつぶす。
食塩水など数種類の溶液に溶かした後、
エタノールの入った試験管に流し込むと、細い綿のような繊維が現れた。

「白い濁りが、遺伝子であるDNA(デオキシリボ核酸)。
試験管へ入れる際に、泡立てないのがコツ」

最先端の理科実験出前授業などを手がけるリバネスが、
札幌市内で開いた無料研修会。
白衣のスタッフの説明を真剣にメモする7人は、中学・高校の教師たち。

研修で紹介したDNA抽出実験は、20分足らず。
教師から、「DNAだと証明するには?」、「ほかに使える材料は?」
といった質問が相次いだ。
札幌市立八条中の伏見和弘教諭(40)は、
「新しいテーマをどう取り上げるか、ヒントを得た。
身近な材料で、実験ができそうです」と満足げ。

新学習指導要領で、中学3年で遺伝子の正体がDNAである、
と触れるようになった。

同社は事業PRを目的に、無料研修会を2003年から関東、関西で
開いているが、今年から教員の要望に応え、
回数を昨年の4回から12回以上にし、沖縄、北海道など開催地も増やす。
沖縄では、小学校の教師も加わり、参加人数は定員の20人を上回った。

学校教育用理科機器メーカーなどで作る日本理科教育振興協会は、
実験器具や教材を授業で広く使ってもらおうと、
「小学校教師のための理科実験セミナー」を、大阪教育大学で開いた。
新学習指導要領に盛り込まれた新しい内容に焦点を絞った内容で、
約30人が参加。
参加費は1000円、すぐに授業で使える教材など“おみやげ”もいっぱい。

6年で習う「電気の利用」に、新たに盛り込まれた手回し発電機の実験も紹介。
大阪市立酉島小学校の坂本拡介教諭(29)は、
「手回し発電機は、学校に大量に届き、困っていた。
これで、学校へ戻ったら、先生方に指導できます」

新学習指導要領では、40年ぶりに実験・観察の時間が増え、
年間にすると、小学校で約1・2倍(55時間増)、
中学で約1・3倍(95時間増)に。
09年度、自公前政権下の超大型補正予算で、理科設備費として
小・中・高校1校当たり約100万円が支給。

具体的な指導方法については、現場に委ねられ、戸惑うケースも少なくない。
実験・観察が多く盛り込まれ、「実感の伴った理解」へ向けた、
理科教育の各地の取り組みを報告する。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100818-OYT8T00190.htm

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