2008年12月31日水曜日

大学選び(5)選抜法で異なる指標

(読売 12月27日)

大学選びの指標をどう考えればいいのか。

大学の全入時代を迎え、選抜方法も多様化している。
偏差値による大学選びは揺らいでいないのか。
代々木ゼミナール入試情報センター本部長の坂口幸世さん(55)は、
まず「大学選びは一生の買い物。情報はきちんと取った方がいい」

代ゼミでは、過去に模試を受けた受験生約30万人を対象に、
電話や郵便で一般入試で合格した大学を尋ね、合格ラインを出している。

一般入試の枠が減り、調査書や面接、小論文で決める
AO(アドミッション・オフィス)入試や推薦入試が広がっている。
その点で、「データを示しにくくなったのは事実」とした上で、
「旧帝大や私大のトップ15校では、定員の7割前後が一般入試。確度は高い」
と、有力大学での偏差値活用に自信を見せる。

偏差値が通用しないAO・推薦で、私大に入る人が過半数に。
それだけに「大学は、きちんとAO・推薦の選考基準を示してほしい。
わからないもので落とされては、受験生は納得できない」

近年、AO・推薦とセンター試験の両方で合否を決める大学が増えたことに注目。
来春入試で取り入れる大学数は4分の1。
ペーパーテストで測れる学力以外の能力を見ようと始まった仕組みに
不都合があった、と大学が考えているのがわかる。

「偏差値はあてにならない」というのは、
全国高等学校進路指導協議会事務局長(東京都立晴海総合高校教諭)の
千葉吉裕さん(47)。
合格ラインで示される偏差値は、一般入試での数値。
その定員を減らせば、合格ラインが上がる。

進学組と就職組の双方がいる晴海総合高では、
独立行政法人「労働政策研究・研修機構」のホームページに
掲載されている適性診断を活用。
診断結果をもとに、進学か就職か、進学ならば何を学ぶかを考える。

「大学選びでは、教育力を指標にしたい。
入学させた学生を、どれだけ伸ばしているかを見たい」。
大学が行っている卒業生対象の満足度調査は、参考にしていない。
友だちがたくさんできた、程度で点数が上がってしまうからだ。
「大人数授業が多いのか、個別指導が徹底しているか、
ゼミにも入れない学生がどれだけいるのか……。
大学4年間で多額の教育費がかかるからこそ、慎重に選びたい」

いい大学に入れば将来は安泰――そんな幻想を抱いている保護者も
納得できるデータがほしいと付け加えた。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081227-OYT8T00184.htm

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