2010年10月2日土曜日

インタビュー・環境戦略を語る:ソニー・中鉢良治副会長

(毎日 9月27日)

ソニーは、2050年に製品の生産から廃棄に至るまでの全過程で、
環境負荷ゼロを目指す「Road to Zero」を掲げるなど、
グループを挙げて、環境問題に取り組んでいる。
中鉢良治副会長に環境戦略を聞いた。

--環境問題に取り組む基本理念は。

企業活動を行う上で、必須の条件ととらえている。
リーマン・ショック後、従来型の大量生産、大量消費による
経済成長に疑問符がつき、資源も有限であることが強く意識。
電気やエネルギーがなくなるかもしれないという地球規模の課題を、
ソニーの持つ技術や製品で解決していくことが使命。

--50年に環境負荷ゼロという高い目標を掲げている。

CO2排出量、新たな採掘資源の使用量、有害化学物質の削減、
生物多様性保全の、四つの視点から取り組んでいく。
実現に向け、15年度に製品1台あたりの消費電力を、
08年度比30%削減、事業所の廃棄物リサイクル率99%以上などの
中期目標を定めた。

ソニーは、環境に関する国際標準規格「ISO14001」を、
02年世界すべての製造事業所で取得するなど、社員の意識も高く、
「環境問題に取り組むからには、業界の先頭を切ってやりたい」と
考えている社員も多い。
全力を尽くして、一日でも早く達成することが社会からの要請。

--取り組みには、取引先の協力が不可欠。

◆01年、欧州向けゲーム機の周辺機器から、
規制レベルを超えるカドミウムが検出され、
出荷停止や部品交換を余儀なくされた。
これを機に導入したのが、「グリーンパートナー環境品質認定制度」。

ソニーが独自に策定した化学物質管理基準に基づき、
部品・原材料の化学物質測定や取引先企業の訪問監査を行い、
合格した企業のみから調達する、という厳しい制度。

導入当初は、取引先から反対意見が相次いだ。
「SONY」マークのついた製品の安全を請け負うのは、
メーカーとして当然。
測定機を世界中の事業所に配置し、監査員を育成して、
取引先の理解と協力を得ることができた。
今では、約1500グループの企業とグリーンパートナーとして取引。

--今後は、どのような活動を推進していくか?

◆15年度の中期目標を達成することが必要、
やはり一番大切なのは、ソニーの顔である製品。
2月、再生プラスチックを使ったノートパソコン「バイオW」を発売して、
大きな反響をいただいた。
ソニーの得意とする技術力で、省エネ性能や省資源を追求した
製品を開発し、社会や地域、お客様と対話しながら活動を推進していきたい。
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◇ちゅうばち・りょうじ

東北大大学院工学研究科博士課程修了。77年ソニー入社。
上席常務、副社長などを経て05年に社長。
09年4月から現職。宮城県出身。63歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/09/27/20100927ddm008020019000c.html

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