2010年9月26日日曜日

学習院の夏合宿(2)内モンゴルの現実に驚く

(読売 9月18日)

「かわいい~」、「まじっすか」という言葉が飛びかい、
メールアドレスを交換し、一緒に記念写真を撮る。
腕相撲で力比べをし、「きっとまた会おうね」と抱き合う。

中国・内モンゴル自治区で行われた合宿
「学習院グリーン元気プロジェクト」は、
現地の学生との交流も大きな目的。

フフホト市では、フフホト民族学院の学生が民族衣装で
歓迎してくれたが、特に親交を深めたのは、
植林ボランティアなどで5日間行動を共にした、
通遼市の内蒙古民族大学で、日本語を専攻する学生15人。

大学3年大須賀友里さん(21)は、
「暑い中、植林作業でバケツリレーや苗運びを一緒にやって
汗を流し、仲間意識が芽生えた。
言葉はあまり通じなくても、協力して何かをなし遂げることで、
人と人はつながれる」

民族大学2年の王暁玲さん(19)も、
「一緒に作業をしてみて、日本人は確かにまじめと感心した。
作業はつらくても、みんな同じだったので楽しかった」

双方の学生たちは、植林だけでなく、食事も同じ場所で食べ、
折り紙やおみやげを交換した。
毎夜のように、交流会や町歩きを一緒に楽しむうち、
お互いの暮らしぶりや夢も語り合うようになった。

「日本のアニメ『ナルト』が好き。
日本の文化、いろんなことを知りたい」と、
民族大学2年の王暁慧さん(20)。
同3年孔勝濤さんは、「中国も日本も、今の若者はインターネットで
ゲームに夢中。就職が難しい、少子化などの状況は、あまり変わらない」

「センベーノ(こんにちは)」、「バイルラー(ありがとう)」など、
せっかく覚えた片言のモンゴル語が、あまり通じない現実に驚く場面も。
内モンゴル自治区では、戦後に増えた漢民族が大半を占め、
モンゴル民族は少数派。
今回参加した民族大学の学生も、モンゴル族は2人。
現地で初めて知った、自治区の現実。

プロジェクトリーダーを務めた大学4年林英明さん(22)は、
帰国後、内蒙古民族大学の学生と連絡をとるとともに、
中国語の勉強を始めた。
林さんは、「内モンゴルの学生が日本語を学び、
日本の文化を知りたいと積極的に話しかけてくれたことも、
交流が深くなった要因の一つ」と分析、
「体力的にも精神的にも、私たちよりたくましい彼らのことを
もっと知りたい」

同世代で共通する部分、違う部分を知る驚きが、
国を超えた理解につながっていく。

◆内モンゴル自治区

中国の北部に位置する自治区。1947年成立。
現在、漢族が大半を占め、ほかにモンゴル族、満州族らが住む。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100918-OYT8T00248.htm

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