2010年10月1日金曜日

インサイド:米大リーグ ビジネス最新事情/3 チケットに電子マネー

(毎日 9月16日)

「ビール1杯」。
男性客が差し出したのは、お札ではなくチケット。
店員がバーコード部分に読み取り機を近付けると、「ピッ」。
それで勘定は終わった。

アスレチックスが今年売り出した「ジャンボ・チケッツ」は、
チケットのバーコードに電子マネーが付与され、
球場内の売店やグッズ売り場で金券のように使用できる。

3階席(通常の試合で12ドル)、一塁側2階内野席(同36ドル)、
内野最前列(90ドル)の3種類が販売、
3階席で6ドル(約510円)分、内野席では10ドル(約850円)分の
クレジットが付く。

昨年まで、3階席は食べ放題付きのチケットで35ドル(約2980円)。
料金が3分の1に下がり、ホットドッグを1本買えるだけの
クレジットが付くとあって、人気は上々。

内野最前列の最上席は、ほぼ完売状態。
観戦条件の悪い3階席と、高値で売りたい内野席が
思惑通りの売れ行きを示し、球団は笑いが止まらない。

◆IT使い付加価値

ジャンボ・チケッツは、ITの「落とし子」。
クーポン券の束を観客に渡す代わりに、ジャンボ・チケッツなら
バーコードにデータ入力をするだけで済み、
球団は余分なコストも手間もかけずに、
チケットに付加価値を与えられる。
観客の側も、金券代わりなので使い勝手がいい。

ジム・レイヒー営業担当副社長は、「購買心をくすぐって、
クレジット額以上の買い物をしてくれる」とホクホク顔。
アスレチックスは来年、対象座席を広げることを検討。

ジャイアンツも今年、よく似た「スプラッシュ・ティックス」を売り出し。
前売り券購入時、オプションとして、この電子マネーを
購入するかどうか、客自身が選ぶ。
全券種に対応し、10ドルのチャージで12ドル(約1020円)分の
買い物ができるのが特徴。
増額特典はないが、試合当日、売店でもチャージできる。

08年秋のリーマン・ショックを受けて昨季、
3階席のシーズンチケット料金を値下げする代わり、
1試合5ドル(約425円)分のクレジットを付与したのが始まり。

この戦略が成功を収め、今年はシーズンチケットに限らず、
対象を全券種に広げた。
ギフトカードとチケットを組み合わせたようなもの。
従業員や顧客サービスとして、企業・団体向けによく売れている」、
ラス・スタンリー・チケット販売担当副社長。

◆「携帯」かざし入場

チケットそのものの電子化も進む。
iPhoneやブラックベリーなどの携帯電話を使って
チケット購入できるのは、アスレチックス、ジャイアンツ、
レッドソックス、カブスなど計13球団。

うち9球団は、携帯電話向けにQRコード付きの
テキストメッセージを配信することで、
携帯電話がチケットになるサービスを提供。
近い将来、全球団でサービス体制が整えられる。

シーズンチケット保有者向けのサービスとして、
使わないチケットを、オンライン上で友人や慈善団体に譲渡したり、
再販市場で売買することも、すでに一般的。
年々、進化を遂げるITが大リーグビジネスをも変えている。

http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/news/20100916ddm035050131000c.html

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