2010年10月19日火曜日

部活新時代(11)スポーツ・芸術 機会確保

(読売 10月9日)

学校をめぐる環境が様々に変化する中、
部活は今後、どうあるべきなのか?

部活事情に詳しく、『部活動』(学事出版)の編著者である
西島央・首都大学東京准教授(教育社会学)に、
部活の意義や今後の展望、課題を聞いた。

――子どもたちにとって、部活の意義は?

「部活は、課外活動でありながら、参加する中学生や高校生は多い。
学校生活で、大きな楽しみになっているからだ。
スポーツにしても、芸術にしても、興味のある分野に打ち込み、
上達する喜びは、他に代え難いものがある。
それに加え、気の合う仲間が集まる居場所としての意味も大きい」

――教師にとってはどうか?

「教師にとっても、部活は重要な生活指導の場に。
授業とは違った生徒の姿を知り、学習面以外の話も、
いろいろしながら信頼関係を築いている教師は多い

「学校週5日制を導入した当時、部活を学校から切り離し、
地域に移していくべきだとの議論もあった。
にもかかわらず、部活が存続したのは、その重要性を知る教師たちが、
勤務が忙しくなる中でも、手放さなかったことが一因」

――部活に熱中するあまり、学業がおろそかになる生徒もいるため、
部活と学業の両立がしばしば問題に。

「もちろん、そういう生徒はいる。
以前、中学生を調査したところ、部活に積極的な生徒は、
授業でも意欲的に学び、成績も良かった。
部活と学業を両立させている生徒は、思われている以上に多い

部活の利点は、学業に比べて、努力の成果が短期間に
目に見える形で表れること。
その手応えを感じた生徒は、部活で培った勤勉さや集中力を、
学習面でも発揮するようになると、多くの教師も見ている」

――部活に参加せず、民間の団体・教室に通う生徒が増えている。

「ベネッセコーポレーションが昨年実施した調査によると、
スポーツをしている中高生の6割が部活に参加し、
民間の団体・教室に通うのは2割以下。
芸術でも、部活参加者は4割に。
収入が多い家庭ほど、小さいうちからスポーツや芸術に親しむ
子どもの割合が高いことも明らかに」

比較的少ない費用で参加できる部活が、
この格差の縮小に役立っている。
スポーツや芸術には、特別な才能や感性などを伸ばし、
人生を豊かにしたり、人とのきずなを深めたりするなど、
学力とは別の可能性がある。
部活は、その重要な担い手。

スポーツや芸術に親しむ機会の確保という視点を交えて、
部活はどうあるべきか、今後の社会の変化を見越しながら
議論する必要がある」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101009-OYT8T00191.htm

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