2008年5月29日木曜日

温暖化で稲作変わる? 雫石で実験、解明進む

(岩手日報 5月20日)

東北農業研究センター(盛岡市)と農業環境技術研究所(つくば市)が
雫石町で行っている実験で、
水稲生育への地球温暖化の影響が徐々に解明。

水温と二酸化炭素(CO2)濃度を高めた水田では、
光合成期間が長く収量が上がる一方、
温室効果ガスの一種メタンの放出量が上昇する結果。
今年も実験を続け、将来の地球環境に適した稲作技術の確立を図る。

実験は、同町南畑の水田に設置した
開放系大気CO2増加(FACE)実験区で実施。
高濃度CO2による収量の影響は1998年から、
気温上昇との相互作用は2年計画で昨年から実験。

水稲のFACE実験区は、世界に雫石町と中国江蘇省の2カ所しかない。
水田上に長さ5メートルのチューブを8角形上に設置し、
風上からCO2を放出。
濃度が、通常より200ppm高い約580ppmの状況をつくる。
水田内には、ヒーターを設置し、水温を2度上げる。

水稲は、CO2を使って光合成するため、
濃度上昇で成長が促進される一方、気温が上がると、
早生化や高温障害による不稔などで収量が下がるとされる。

しかし昨年の実験では、水温を上げても葉が長い期間緑色を保ち、
早生化による減収はみられなかった。
その結果、CO2濃度と水温を高めた所では
通常に比べ14%ほど収量が上がった。

メタンの発生量が、通常より50%上昇。
温暖化に拍車をかける可能性も。
一時的な現象かどうか、データを蓄積し検証、
高CO2下でかかりやすかった、いもち病についても検証

農業環境技術研究所の長谷川利拡大気環境研究領域主任研究員は、
「まだ分からない要素があり、実証を積み重ねたい。
米の生産量や地力などを予測し、
今後の環境変化に対応できるモデルをつくりたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080520_14

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