2008年5月25日日曜日

子どものうつ病:心も疲れることがある 「自殺防止」授業で訴え

(毎日 5月18日)

自殺者が年3万人を超す日本。
うつ病を患っている人が多いとみられ、子どもも例外ではない。
心の状態に早く気付くにはどうしたらいいのか?

東京都の画家、夢ら丘実果さん(40)は昨年、友人の自殺や、
交通事故の後遺症で自分がうつ状態になった経験から、
自殺予防の絵本「カーくんと森のなかまたち」を出版。

劣等感や疎外感に悩む鳥の「カーくん」が、仲間に気持ちを打ち明け、
元気になる物語で、それを教材に「日本いのちの電話連盟」の
斎藤友紀雄常務理事らと、小・中学校十数校で読み聞かせ授業。

読み聞かせ授業を行った自治体の一つが、埼玉県志木市。
市民全体を対象にした「心の安全週間」の催しの一環、
12日に市内の小中学校2校で実施。

「心も疲れることがある。自分がそうなったら、だれかに話してみて。
元気のない友だちがいたら、声をかけ話を聞いて。
なくなっていい命など一つもない」。
市立第二中の1年生の授業で、夢ら丘さんはこう呼びかけた。

授業後、子どもたちからは、「つらいときは人に頼っていいし、
自分もつらい人を救えるんだと思った」(男子)、
「自分もカーくんのような気持ちになる。親に話してみようと思った」(女子)。

志木市以外でも、子どもたちの感想文をきっかけに、
担任や養護教諭が見守ったり、専門医の診察で改善につながった例も。

東海大医学部の保坂隆教授(精神医学)らが、
06年に厚生労働省の研究事業として中学1~3年生約550人を
対象に行った調査では、約4人に1人の生徒がうつ状態。

「いのちの電話」で30年前2割を占めた青少年からの相談が、
今は約3%。
しかし、東京支部が2年前からメールでの相談を始めたところ、
年間1500件のうち7割が未成年。
斎藤さんは、「心を受け止める多様なチャンネルが必要」。

◇身近な大人が変化に気付いて--東海大医学部・保坂隆教授

元気がない、食欲不振、遊ばなくなるなど、うつ状態を示す子どもの中に、
うつ病やその予備軍、統合失調症などいろいろなケースが含まれる。
服薬や環境を整えることでコントロールできるし、
適切な手助けで改善するケースが圧倒的。
それが正しく認識されていない。

誤解されるのが、いじめとの関係。
「いじめ即自殺」、ではない。
まず、うつ状態があり、そのおとなしい子がターゲットになりやすい面。

大切なのは、親、教師、養護教諭など身近な大人が正しい知識で、
子どもの心の状態に気付くこと。
元気がない、メールばかり見る、食事をしない、勉強しなくなる、
などの状態が続いたら、安心して心を打ち明けられる環境を作り、
その声に耳を傾けてほしい。

理由を聞かずに頑張らせたり、しかったり、見て見ぬふりは禁物。
本人や学校、他人に原因を求めようとするのもよくない。
専門医に一緒に行く冷静さも必要。
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◆うつ病の主な症状
▽抑うつ気分
=悲しい、寂しい、憂うつ、孤立感、自責感、涙が出る、楽しめない
▽精神機能の抑制
=集中力や持続力が無い、忘れっぽい、決断力がない、成績が悪くなる
▽運動の抑制
=やる気が起きない、おっくう
▽身体症状
=頭痛、頭重感、肩こり、食欲不振、体重減少、便秘、不眠

http://mainichi.jp/select/science/news/20080518ddm013100046000c.html

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