2008年5月30日金曜日

シドケに抗がん物質 岩手大・木村准教授ら発見

(岩手日報 5月29日)

岩手大農学部の木村賢一准教授(48)=ケミカルバイオロジー
の研究グループは、シドケ(モミジガサ)に含まれる物質の中に、
抗がん効果があることを突き止めた。
人体への具体的研究は未着手で、基礎研究の段階だが、
この物質について特許を申請中。

シドケは、山菜や茶葉としての利用が主だったが、
新たな医薬品やサプリメント、加工食品開発などへの応用が期待。
シドケに含まれている抗がん物質は、炭素などが結合した
「ビサボラン型セスキテルペンのエンドパーオキサイド化合物」。
人体に似た遺伝子を持つ酵母を用いた実験で、
細胞活性の有無、強さが明らかとなった。
木村准教授らは、同化合物をシドケからメタノール抽出。
人のがんに相当する遺伝子変異酵母を人為的に作りだし、
同化合物を注入した結果、酵母は正常な状態に戻った。
がん細胞は、異常な細胞を除去するメカニズム(アポトーシス)も失われるが、
同化合物はこのメカニズムを取り戻させ、結果的にがん細胞も死滅。
木村准教授らは2005年から、シドケについて広島大や
理化学研究所(埼玉県)と共同研究。
今回の研究成果をもとに、シドケなどのキク科植物に含まれる
同化合物を特許申請。既に学会での発表や英語論文も投稿。
木村准教授は、「身近にある食材や植物の隠れた有効性を
広く知ってもらいたい。シドケに含まれる抗がん物質を応用した開発を期待」
と企業による実用化を願う。
木村准教授らは、同化合物の評価を文部科学省の研究班に依頼。
研究班のメンバーの一人、岩手医大薬学部の上原至雅教授(61)
=微生物薬品創薬学=は、「シドケの化合物は、
既存の抗がん剤とは違う作用を持つ可能性があり、非常に興味深い物質」。

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