(読売 12月6日)
学校作りと地域作りが、新しい学校で同時に進む。
創立4年目の横浜市立東山田中学校で、
250人近い3年生への模擬面接が行われた。
面接官役は、会社役員、元高校教師、ボランティア活動家、
町内会長など、地域住民25人。
生徒たちは教室で個別に、志望理由などの質問を受け、
マナーについて意見を聞き、3段階で評価も受けた。
高校の推薦入試を受ける生徒にとって、面接はまもなく経験する試練。
これまでは、担任や校長らの指導を受けるだけだったが、
本番に近い形での練習の場となった。
「生徒に、いい意味の緊張が見られた。面接官役の皆さんも、
『こういう形で中学生とかかわったのは初めて。
普段とは違う一生懸命な姿を見ることができてよかった』」と斎藤悦子校長(56)。
「地域の人に満足してもらえて、私たちもうれしい」と、
地域住民の交流施設コミュニティハウスの竹原和泉館長(58)。
初めての試みは大成功。
横浜ニュータウンにある東山田中は、開校と同時に、
地域住民が学校運営に参画するコミュニティスクールの指定を受けた。
初代校長は、インターネット商取引大手「楽天」の元副社長、本城慎之介さん。
32歳の校長として当時、注目を集めた本城さんを2年間、
副校長として支えたのが斎藤さん。
地域活動の経験が豊富な竹原館長は現在、コミュニティスクールの
協議機関である学校運営協議会の副会長。
2人の女性が、コミュニティスクールを引っ張っている。
運営協議会では当初から、子供たちに将来を考えさせるキャリア教育を、
学校支援プロジェクトの柱に据えてきた。
子供たちの将来は、地域の将来とも密接な関係がある。
支援してくれる地元の事業所向けに、「10年後の社会人
中学生のために地域の大人ができること」と題したハンドブックも作った。
1年生は自分を見つめ、職業や社会について知る。
2年生で職業体験をさせる。
3年生は自分の進路を決めるために高校や事業所を見学する。
昨年の職業体験後の反省会の場で、
教員が「来年、地域の方に面接をやってもらえればありがたい」と
提案したのが、今回の催しにつながった。
竹原館長らが、ハウスに集う人たちを中心に声をかけた。
学校支援プロジェクトのもう一つの柱が、仲間意識を育むシンボルマークの制作。
公募作品の審査には、イラストレーターの日比野克彦さんも加わり、
地元の名所の山田富士と東山田の「ひ」の字を組み合わせた、
ユーモラスなマークが選ばれ、「やまたろう」と名前もついた。
すでに、マーク入りのバンダナやあめができている。
ハウスには、地域住民だけでなく、保護者や中学生自身も姿を見せる。
習字教室の先生が中学校の卒業証書の文字を書くといったことが、
ごく自然にできる。
ハウスが、学校と地域のつなぎ役になっている。
◆コミュニティハウス
地域住民が、生涯学習的な活動をするための横浜市独自の施設。
中学校区単位で約20年前から整備が始まり、現在108か所ある。
空き教室などを使った学校併設型85か所では、
地域と学校の交流・連携を深めることも目的にし、
以前はコミュニティスクールと呼ばれていた。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081206-OYT8T00185.htm
0 件のコメント:
コメントを投稿