2008年12月7日日曜日

宗派超え協力 天台宗が主催、あすまで写真パネル展 ハンセン病

(毎日新聞社 2008年11月23日)

ハンセン病差別による被害が、まだ続いていることを知ってもらおうと、
天台宗の主催する元患者らの写真パネル展が
大津市坂の生源寺で始まった。

天台宗が同問題を取り上げるのは初めてで、宗務庁人権啓発課は、
「元患者が高齢化している今こそ、社会で語り伝えていくことが必要。
今後は宗派として取り組むべき柱の一つにしたい」

ハンセン病差別の問題では、96年の「らい予防法」廃止
約90年続いた元患者らの強制隔離は終わった。
だが本名に替えて番号で呼ばれ、断種・中絶を強制されてきた元患者らには
家族が1人もいない人も多く、今も大半は療養所で生活。

今回の企画を進めてきた人権啓発課の福島亮俊課長(39)は10年前、
療養所を訪れたときのことを強烈に覚えている。
出された茶をどうしても飲めず、後ろめたい気持ちで席を辞した。
「『差別はいけない』と強く分かってはいた。
だが宗教者すら、そうなってしまうのが差別の実態。ショックだった」と振り返る。

隔離当時は、宗教者も「前世の悪行の報い」などと
現世でのあきらめを説いていたことから、
01年に国が謝罪した際には反省を表明する宗派も。

今年、天台宗では10月の宗議会で、
濱中光礼・宗務総長が同問題に取り組んでいく方針を表明。
今回は、これまで同問題に取り組んできた真宗大谷派の東本願寺から、
宗派を超えて資料約50点を借りた。
12月3日には、午後1時半から宗務庁で当事者団体の講演なども開く。

福島課長は、「『なぜ今ごろ』という感想もあるだろうが、
元患者は家族もなく、今も孤独に暮らしている。
未だに本名を名乗れない遺骨もたくさんある。明らかに問題は残っている」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=83481

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