(毎日新聞社 2008年11月23日)
ハンセン病差別による被害が、まだ続いていることを知ってもらおうと、
天台宗の主催する元患者らの写真パネル展が
大津市坂の生源寺で始まった。
天台宗が同問題を取り上げるのは初めてで、宗務庁人権啓発課は、
「元患者が高齢化している今こそ、社会で語り伝えていくことが必要。
今後は宗派として取り組むべき柱の一つにしたい」
ハンセン病差別の問題では、96年の「らい予防法」廃止で
約90年続いた元患者らの強制隔離は終わった。
だが本名に替えて番号で呼ばれ、断種・中絶を強制されてきた元患者らには
家族が1人もいない人も多く、今も大半は療養所で生活。
今回の企画を進めてきた人権啓発課の福島亮俊課長(39)は10年前、
療養所を訪れたときのことを強烈に覚えている。
出された茶をどうしても飲めず、後ろめたい気持ちで席を辞した。
「『差別はいけない』と強く分かってはいた。
だが宗教者すら、そうなってしまうのが差別の実態。ショックだった」と振り返る。
隔離当時は、宗教者も「前世の悪行の報い」などと
現世でのあきらめを説いていたことから、
01年に国が謝罪した際には反省を表明する宗派も。
今年、天台宗では10月の宗議会で、
濱中光礼・宗務総長が同問題に取り組んでいく方針を表明。
今回は、これまで同問題に取り組んできた真宗大谷派の東本願寺から、
宗派を超えて資料約50点を借りた。
12月3日には、午後1時半から宗務庁で当事者団体の講演なども開く。
福島課長は、「『なぜ今ごろ』という感想もあるだろうが、
元患者は家族もなく、今も孤独に暮らしている。
未だに本名を名乗れない遺骨もたくさんある。明らかに問題は残っている」
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=83481
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