2008年12月9日火曜日

地域が支える学校(3)校区統合 深まる交流

(読売 12月4日)

統廃合でできた新しい学校が、新しい地域作りを模索する。

岐阜市立岐阜小学校の校庭に集まった大人のウインドブレーカーの背には
京町小学校、テントの屋根には金華小学校の文字が読めた。
テントの下では、京町地区の藤沢真一さん(76)と
金華地区の西野洋一さん(74)の両自治会連合会長が談笑する姿。

岐阜小は今春、市街地にある両小学校が統合してできたばかり。
旧京町小を使っていて、旧金華小の敷地に新校舎ができる。
統合を機に、地域が学校運営に参画するコミュニティスクールの指定を受け、
その公表会を11月15日に初めて開いた。

午前中は、地域住民らもかかわる授業を公開。
校庭で、昼食のおにぎりと豚汁が振る舞われた。
午後は、グループ単位で全学年が地域に出る「ふれあい学習ウォーク」。
子供たちは戦前からの和菓子店、創業100年を超える酒店などを訪ねて
話を聞き、用意されたクイズにも挑んだ。

この日の催しに参加したのは、児童約400人を含む1000人近く。
「ウォーク」の引率や街頭での交通安全指導にも、
保護者や地域住民がかかわった。
高木満夫校長(60)は、校庭を埋める人を見て、
「岐阜小として最初の大きなイベント。
こうした催しで、地域の人間関係が深まるのが何より大事です」と感慨深げ。

この日は、学校運営の方針を承認する学校運営協議会も開かれ、
席上、「地域に守られている、育てられていることを日々、実感しています」
といった保護者の声が紹介。

ただ、地域の融合はそれほど簡単ではなかった。
旧金華小の校区は、織田信長時代からの城下町で、観光スポットも多い。
旧京町小は下町で、かつては市役所も県庁もあった。
ともに地域が長い歴史を持ち、世帯数も拮抗。
小学校の歴史も、ともに130年を超えていた。

統合前の準備期間を経ても、盆踊りや運動会、お祭りなどの地域行事は、
現在も別々に開く。
現状では、互いの行事に、もう片方の旧校区の子供たちも、
希望すれば受け入れる形を取っている。

公民館もそれぞれにある。
自治会の活動資金の工面の仕方も違う。
下校時の安全確保のための指導も、元々、片方では実施しておらず、
統合を機にスタート、自治会の境で引き継ぐことに。

「伝統は守りながらも、子供を中心に考え、できるだけのことはする」
という点で、両自治会長の思いは一致。

学校運営協議会でも、両自治会の行事の話題が出る。
会長を務める鈴木誠・岐阜経済大教授(コミュニティー政策)は、
「地域社会を再構築するモデル」とみる。

少子化で、全国的にも急激に進む学校の統廃合。
それを機に、コミュニティスクールとして再出発するのは、
新たに地域を作る有効な手段となりそう。

◆減り続ける公立小学校

公立小学校2万2420校の学級規模は、半数が11学級以下。
2001年度以降、毎年200校を超えるペースで小学校が廃校に。
昨年11~12月に実施した読売新聞社の全国調査では、
今後ほぼ5年以内に、統廃合によって小学校が800校以上減る見通し。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081204-OYT8T00230.htm

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