(読売 12月9日)
校長を補佐する職員の配置を始める自治体が出てきた。
教師たちが翌日の授業準備やテストの採点を続ける
島根県出雲市立第一中学校の放課後の職員室で、
スーツ姿の男性が来客と話し込んでいた。
赤木亮一さん(48)。
名刺には、市教委学校教育課課長補佐と
「スクールマネジャー」の二つの肩書。
「昨年より多くの生徒が参加しました。
小学生を助けて積極的に活動してくれました」
「来年度の活動の参考にするため、校長にも伝えます」
赤木さんの話し相手は、地元のコミュニティセンター長の鐘推晴夫さん(64)。
学校と地域が連携して行った清掃活動の報告に来た。
赤木さんの元には、たびたび来客がある。
外部との電話のやりとりも多い。
校長や教頭に代わって、地域との連絡役や交渉役を担う。
各校に1人、事務職員が配置されているが、
マネジャーは事務面での校長の右腕という位置付け。
法的な申請など、重要度の高い事務も請け負う。
普段は教員らと机を並べ、給食も一緒に食べる。
修学旅行にも一緒に出かける。
出雲市が、学校現場の支援を目的にスクールマネジャーの配置を
始めたのは昨年度からだ。
現在、市内の拠点校5校に5人の課長補佐を派遣。
手厚い支援には事情がある。
市は、出雲中央教育審議会の答申を受けて2006年度、
市立の全小中学校49校を、地域住民らが学校運営に参画する
コミュニティスクールに指定。
校長らから異論が出た。
学校運営に口出しされることへの抵抗感や事務的な負担増への懸念から。
地域や学校現場の主導ではないだけに、
指定後の取り組みで、学校間の温度差も招きやすい。
そんな課題を克服しようとしたのが、マネジャー配置という大胆な施策。
旧文部省出身の西尾理弘市長(67)の判断。
第一中の高瀬正博校長(60)は、「最初はスパイかと思ったよ」と言って
笑わせた後、真顔で続けた。「今ではなくてはならない存在だ」
学校と、運営方針を決める理事会(学校運営協議会)の理事との
連絡調整も、スクールマネジャーの業務。
赤木さんの存在で、同中では理事会の月1回開催が可能に。
職員としての経験を生かすことで、コピー用紙代節約など、
コスト削減という二次的効果も出ている。
この仕組みをどこまで広げるか、いつまで続けるのかについて、
市は方針を示していない。
スクールマネジャーが駐在していない大社小学校の松本俊憲校長(60)は、
「正直に言うと、常駐の学校がうらやましい。
ただ、一度慣れてしまうと、いなくなった時の反動も大きい。
市は、持続可能な仕組み作りに取り組んでほしい」と訴える。
学校を支援する自治体の本気度が問われている。
◆出雲中央教育審議会
2005年3月、近隣5市町と合併した新出雲市の誕生を機に、
同年7月、市長の諮問機関として設置。
同12月、第1次答申として全市立小中学校をコミュニティスクールとするよう提言。
07年6月、出雲市教育政策審議会も常設され、
学校運営の在り方や人材育成の議論を続けている。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081209-OYT8T00224.htm
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