(WebMD 11月12日)
腹部脂肪は、心疾患および糖尿病のリスク増大との関連が示されている。
腹部脂肪と早死の関連性を示す重要な研究が発表。
この研究は、世界中で最大規模かつ最も長期にわたる健康調査の
ひとつに参加した、欧州人約360,000例を追跡調査。
その結果、腹部脂肪が最も多い群における早死リスクは、
腹部脂肪が最も少ない群の約2倍。
死亡リスクは、過体重であるか否かにかかわらず、
ウエスト周囲径の増加に伴い上昇。
Tobias Pischonは、この研究は、腹部脂肪と早死の関連性について、
これまでで最も強力なエビデンスを提供するものである。
『The New England Journal of Medicine』11月12日号に掲載。
「体重が正常であっても、腹部脂肪が過剰に蓄積している人では、
健康がリスクにさらされている可能性を示している。
喫煙や飲酒と無関係な個人的特性のなかで、
これほど早死のリスクを高める特性は多くない」
腹部脂肪が過剰な人々、洋ナシ型でなくリンゴ型体型の人々は、
心発作および脳卒中のリスクが相対的に高いことが古くから認識。
最近の研究から、腹部脂肪と一連の他の疾患
(糖尿病、一部の癌や、加齢に伴う認知症など)の関連性も示唆。
しかし、腹部肥満に関連する死亡リスク上昇が、
すでに認識されているリスク因子(全身肥満など)と無関係に生じるか否かに
ついては未だ明らかにされていない。
この研究では、早死における腹部脂肪の役割をさらに理解する試みとして、
2種類の腹部肥満の指標(ウエスト周囲径、ウエスト・ヒップ比)を用いた。
大規模な健康調査European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition
(EPIC)に参加している欧州の成人359,387例の、
10年近くにわたる追跡調査データを検討。
追跡調査期間中、参加者14,723例が死亡。
過体重および肥満[体格指数(BMI)により評価]に関する補正後、
ウエスト周囲径とウエスト・ヒップ比は、早死のリスク増大との関連性を示した。
男女とも、ウエスト周囲径が最も太い群(男性100 cm超群、女性87.5 cm超群)では、
ウエスト周囲径が最も細い群(男性85 cm未満群、女性70 cm未満群)と比較し、
早死のリスクがほぼ倍増。
ウエスト周囲径が5 cm増加するごとに、死亡率が男性17%、女性13%近く上昇。
ウエスト・ヒップ比も、死亡率の強い予測能を有していた。
「最も重要な結果は、過体重のみならず体脂肪の分布も、
早死のリスクに影響を及ぼすということ」
University of Michiganの心臓病専門医Daniel Eitzmanは、
この結果を当然のことと受け止めている。
マウスを用いた研究において、腹部脂肪(内臓脂肪)が
他の身体部位に存在する脂肪より炎症を引き起こしやすいことを明らかに。
炎症は、心疾患や多くの慢性疾患に重要な役割を果たす。
同博士は、ウエスト周囲径、ウエスト・ヒップ比の測定は、
炎症に起因する疾患のリスク評価に重要である。
「現時点では、診療現場でルーチンに実施されていない内臓脂肪測定の
重要性に関心を集めることができる」
腹部脂肪が、正常より多いかどうかをどのようにすれば知ることができるか?
ウエスト周囲径は、ウエストの最も細い周囲(へそのすぐ上)に
巻尺を当てて測定する。
一般に、男性100 cm、女性87.5 cm以上の場合に健康リスクが高い。
ウエスト・ヒップ比は、ウエストの最も細い周囲径とヒップの最も太い周囲径
(臀部の最も広い部分)を測定し、ウエスト測定値をヒップ測定値で除することで算出。
一般に、男性0.9超、女性0.8超の場合にリスクが高い。
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=83578
0 件のコメント:
コメントを投稿