2008年12月13日土曜日

地域が支える学校(7)独自基金 きずな強める

(読売 12月10日)

地域が、学校独自の教育活動を支える基金で奮闘している。

津市の新興住宅地にある市立南が丘小学校を会場にして開かれる
「南が丘ふれあいまつり」は3年目の昨夏、3000人が集まる大盛況に。
校区の世帯数に匹敵する人数。
大雨にたたられた今夏も、参加者は1500人を超えた。

同小には、「南が丘コミュニティ・ファンド」と呼ばれる基金がある。
町のシンボルに育ったまつりには毎年、この基金から10万円が助成。

ファンドは、地域住民が学校運営に参画するコミュニティスクールに
指定された2005年度から本格運用が始まった。
コミュニティスクールの協議機関である南が丘地域教育委員会
(法律では学校運営協議会)の委員長を務める会社員の辻林操さん(50)が、
ファンドの責任者も務めている。

ファンドの予算は、昨年度で128万円余り。
まつりへの助成のほか、70万円余りが、
学校の教育活動支援のために使われた。
5、6年を対象にして、秋に20講座ほど開講する選択教科の
外部講師の資料代などに7万9000円、全学年にほぼ週1コマ行う
英語科の授業の資料代に4万円といった具合。
学校要覧の印刷代、図書ボランティアの事務費、ボランティア保険などの
費用もまかなっている。

収入の7割はPTAから。
会費に上乗せする形で、1人月100円分を徴収。
残りは、寄付と、協力店を利用した場合の還元金。
地元を中心に、美容室、医院、飲食店、スポーツ用品店などが
協力店になっており、利用者がポイントカードや、押印したレシートを
事務局に届けると、売り上げの一部がファンドに入る。

ただ、事業所が点在する住宅街で、PRするスタッフも数人であるため、
今年度の協力店は7か所、寄付先を入れても24か所で、
スタート当初から伸びていない。
寄付の場合、景気にも左右される。
協力店になる利点をどうアピールするかも模索中。

昨年度から校長を務める中山佳之さん(54)は、
「地域のおかげで、教育内容が充実するのはありがたいし、
金額以上に、地域が学校に関心を持ってもらえる精神的な効果が大きい」

「充実させようとすればきりがないが、ソフト面での支援はほぼ満足のいく状態」
ファンドが地域のきずなを強めることに、ひと役買っているのは確かだろう。

◆少ない校長裁量予算

ベネッセコーポレーションによる2006年の調査では、
全国の市区町村教育長895人中、校長裁量予算があると答えたのは17.4%、
金額は50万円までで80%超、うち10万円までが32.1%。
公立小中学校長2345人の86.3%が予算不足と感じ、
学習活動の費用を増やしたいとする声が目立った。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081210-OYT8T00228.htm

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