2009年2月21日土曜日

逆風の中で:第2部・企業とスポーツ/6 宮崎直樹・トヨタ自動車常務役員

(毎日 2月12日)

硬式野球、ラグビー、陸上長距離、男子バスケットを重点強化部、
女子バスケットを強化部に指定。
チームを所有する目的は何かと言えば、
人事労務施策、つまり一体感の向上に尽きる。

野球部が都市対抗に出場すると、東京ドームに2万人以上の
従業員とその家族が集まる。
ラグビーの日本選手権だと数千人。
男女のバスケット以外は、選手は従業員で、
基本的には午前中は職場で仕事をして、午後は練習。

一般の従業員は、同僚の選手が試合で活躍すると、すごく盛り上がる。
高まった意欲や活力は、職場のチームワークやコミュニケーションに役立つ。
いい循環になっている。

運動部の活動が、従業員の労働意欲にどんな影響を与えているのかを
検証するために、大阪大学の大竹文雄教授の指導を仰いでアンケートを実施。
試合に勝つと、組織の一体感や従業員の意欲が向上することが明らかに。
見えざる資産?そうかもしれない。

チームを持っていることは、大げさに言えば、労働条件の一つになる。
自分の会社にチームがなければ、東京ドームや京セラドームに行って、
一緒に応援して感動するという経験は味わえない。

我々も施策として、選手と従業員の接点を増やすために、
いろいろな仕掛けをしている。
選手の配属先を従来より広げたり、応援の無料バスを手配して動員を図ったり。
試合を見ないと、共感も感動もないので、できる限り足を運んでもらう。

うちは経営トップがスポーツに理解があって、スポーツ好きの社風。
1946年から続いている社内駅伝大会がある。
62回目の昨年は、海外も含め約400チームが参加、
応援を入れると2万5000人が集まった。

岡崎市民球場で、平日に開催する都市対抗の予選には、
定年退職したOBが応援に来てくれる。
飲食店に行ったり、タクシーに乗ったりすると、「野球優勝したね」、
「ラグビー頑張っているね」と興味を持って声をかけてくれる。
スポーツを通じて、地域とのつながりもできている。
だから、やめられない。

ただ、こういう時代だから、会社としてすべての経費を見直していて、
運動部も例外ではない。
逆に、選手は燃えていると思う。
厳しい状況の中で、自分たちが頑張ってみんなに勇気と活力を与えるんだと。
それを見て、従業員も前向きな気持ちになって、難局を乗り切っていこうと。
うちは、そういう熱い会社なんです。
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◇みやざき・なおき
京大法学部卒。80年、トヨタ自動車工業(82年、トヨタ自動車に社名変更)入社。
人事部長などを経て昨年6月、常務役員に就任。
人事部、法務部、人材開発部、トヨタ工業学園、メディカルサポート部などを担当。
51歳。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/12/20090212ddm035050077000c.html

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