(2009年2月10日 共同通信社)
異物を排除し体を守るはずの免疫が、なぜ自分を攻撃することがあるのか。
この謎を解く鍵となる免疫調節物質インターロイキン6(IL6)を発見、
スウェーデン王立アカデミーによるクラフォード賞に決まった。
「研究者をやめようかと思うほど苦しんだ。
当時は、まだ関節リウマチやがんの発症にかかわるとは分からなかった」
医師になったころ、肺がん患者を担当。
最新医療でも治らない病気を前に、「臨床医学の限界を体の底から実感」した。
基礎研究を志し留学した米国で、共同受賞の岸本忠三・元阪大学長と出会う。
「大先輩、恩師であり精神的支柱」。
付き合いは36年に及ぶ。
帰国後、大阪府立羽曳野病院で再び臨床の場に。
日々患者と向き合いながら研究し、熊本大医学部、阪大細胞工学センターでの
助教授時代を通じ、8年がかりでIL6の構造を突き止めた。
IL6はその後、肝臓に働いて炎症に関与する物質を作ったり、
多発性骨髄腫を増やしたりするなどさまざまな病気に関係することが判明。
研究を好きな登山に例え、「頂上近くが最もしんどい。
しかし、そこであきらめたら山の高さも景色も分からない」と
未知の世界に挑むよう若い人を鼓舞する。
クラシック音楽鑑賞が趣味。
ただ多忙な医学部長のため、「時間がない」と苦笑い。
授賞式で5月に訪れるスウェーデンでも観光できるかどうか。
長女は結婚し2歳の孫娘がいる。
生まれ育った大阪市で母、妻、次女と4人暮らし。61歳。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/10/91482/
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