(サイエンス 2月13日)
風邪の原因ウイルス、ライノウイルスの系統樹が構築。
どのウイルス株をターゲットとすべきかが明らかになり、
治療薬の開発に役立つ。
風邪は、これまで長年にわたって大きな謎であったが、
その主な理由は原因となるウイルスが1種類ではないこと。
これまで確認されているライノウイルスは99種あるが、他にも数多く存在。
風邪の症状には穏やかなものもあれば、耳や肺に二次感染を起こし、
喘息まで引き起こしてしまうものも。
過去に何度も薬剤の開発が失敗に終わってきたのは、
薬剤が、特定のウイルス株に感染した、あるヒトには有効で、
その他のヒトには効果がなかったことが最大の理由。
様々なウイルス株を分類するため、Stephen Liggettらは、
既知のライノウイルスと市中(in the field)で新たに検出されたウイルス株の
すべてのゲノム塩基配列を解明。
Liggettらは、各ウイルスの物理的特徴に加えて塩基配列を比較することで、
ライノウイルスの系統樹を作成。
系統樹の中に、既知の主流グループ2つ以外に新しい分岐を発見し、
遠い親戚関係にあるウイルス同士が再び結合し、新しいウイルス株を
生み出すことが可能であることを明らかに。
ポリオウイルスと同じように、ライノウイルスの塩基配列にも
特に変化しやすい特定の部分が存在し、ウイルス毒性に影響している
可能性があることがわかった。
これら発見は、薬剤の研究に関心を向けさせるだけでなく、
ライノウイルスの進化、多様性および薬剤耐性に関する研究の基盤に。
"Sequencing and Analyses of All Known Human Rhinovirus Genomes Reveals Structure and Evolution," A.C. Palmenberg at University of Wisconsin in Madison, WI
; D. Spiro; R. Kuzmickas; S. Wang; A. Djikeng at J. Craig Venter Institute in Rockville, MD; J.A. Rathe; C.M. Fraser-Liggett; S.B. Liggett at University of Maryland School of Medicine in Baltimore, MD.
http://www.sciencemag.jp/highlight/index.jsp?pno=146#tx_1
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