(日経 2009-02-09)
厳しい経済環境を受けて、最近売れているヒット商品には
何かを節約したり、省いたりする効果を持つものが増えている。
私は、これらを「省ビジネス」と呼び、今後さらに伸びる分野。
多くの商品は、節約と同時に、CO2排出量の削減にもつながる。
2008年の日経MJのヒット商品番付から、
私の判断で「省ビジネス」を拾ってみた。
厳密なものではないが目安として、その商品のCO2削減効果も概算。
健康、ダイエット関係は直接、CO2削減につながるわけではないが、
間接的な効果がある可能性を持つ。
ヒット商品番付を、過去10年さかのぼって省ビジネスに該当するものを
選び出すと、ここ数年明らかに増加。
最大の要因は、節約志向だろう。
昨年半ばまでの資源・食糧価格の高騰で、数多くの商品・サービスの
価格が上がった。
昨年後半、金融危機による深刻な不況となり、
どちらにしても企業も消費者も節約志向がますます強まっている。
健康・安全意識の強まりで、カロリー、油脂、砂糖などをそぎ落とす
商品・サービスへの需要も広がっている。
省ビジネスに私が注目するのは、
企業にとってCO2削減へ向けた良い手段となる。
中長期の具体的なCO2削減目標を設定する企業は増えているが、
CO2が減ることをいくらPRしても、それで商品が売れるわけではない。
省エネルギーによるコスト削減や安全、健康などへの利点を
アピールすることで商品が売れ、結果的にCO2も削減できる。
消費財だけでなく、BtoBにおいても同じ。
省エネルギー支援サービスは、無駄を省くことでコスト削減を実現し、
同時にCO2も減らす効果がある。
省ビジネスに該当しないような商品・サービスは今後、
場合によっては需要が急減する可能性も。
米国でずっと人気があり、日本の自動車メーカーも拡販に力をいれてきた
大型スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)の需要は、落ち込みが激しい。
福島県の有紀という企業が特許を取得した、
電気を使わない自動ドアをご存じだろうか。
床の踏み板に足をのせると、10キログラム以上の加重でするりと開く。
踏み板が加重で2センチ下がると、つり下がっているドアが
振り子の原理で引っ張られる仕組み。
昨年6月に耐久テストを終え、まだ設置は、役所が1カ所、企業2カ所だが、
鉄道や大手銀行、ファミリーレストラン、外国企業などから引き合いがある。
風圧がかかる建物の外部には使えないものの、室内ならどこでも設置が可能。
電気系統がないため、メンテナンスが楽で耐久性があり、
挟まれる心配がなく安全性が高い。
同社の試算では、一般的な自動ドアは1日1000回動作すると
0.12キロワット時の電力を消費、年間200日稼動として
年間10キログラムのCO2削減。
初期投資額は、通常の自動ドアに比べ約4割高いが、
電気代の分などで約5年で回収できる。
CO2の削減量自体は決して多くはないが、
ゼロになることのインパクトは限りなく大きい。
エネルギー消費ゼロは究極の省ビジネスとも言え、
今後の競争力は高い。
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan090204.html
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