(サイエンス 2月12日)
私たちの社会生活が、一般的に考えられているよりも格段に
身体的経験に密接に関連していることを示唆する研究において、
機能的MRIを用いて、脳のどの領域が妬みと他人の不幸を喜ぶ感情に
反応するかが確認。
高橋英彦らは、機能的MRIを用いて19名の健常被験者を対象に
2つの実験を行った。
さまざまな状況における社会的感情である妬みと他人の不幸を喜ぶ感情の
神経反応を分析した結果、妬みによって身体的苦痛に関与する領域と
同じ前部帯状皮質が刺激され、他人の不幸を喜ぶ感情によって
報酬の処理に関与する腹側線条体が刺激されることがわかった。
高橋らは、被験者が、嫉妬を感じる相手が不幸な状況に陥った場合、
腹側線条体の活動が強くなることを確認。
これらの結果、社会生活で生じる苦痛と喜びの動的関係が初めて解明、
ヒトの脳が以前に考えられていた以上に、身体的経験と同様に
概念的社会経験を処理する可能性が示唆。
Perspective記事では、Matthew LiebermanとNaomi Eisenbergerが、
この研究結果の意味について詳しく議論。
"When Your Gain Is My Pain and Your Pain Is My Gain: Neural Correlates of Envy and Schadenfreude,"
by H. Takahashi; T. Suhara at National Institute of Radiological Sciences in Inage-ku, Chiba, Japan; H. Takahashi; M. Matsuura at Tokyo Medical and Dental University in Bunkyo-ku, Tokyo, Japan; H. Takahashi at Japan Science and Technology Agency in Kawaguchi, Saitama, Japan; M. Kato at Keio University School of Medicine in Shinjuku-ku, Tokyo, Japan; D. Mobbs at University of Cambridge in Cambridge, UK; Y. Okubo at Nippon Medical School in Bunkyo-ku, Tokyo, Japan. "Pains and Pleasures of Social Life," by M.D. Lieberman; N.I. Eisenberger at University of California Los Angeles in Los Angeles, CA.
http://www.sciencemag.jp/highlight/index.jsp?pno=146#tx_1
0 件のコメント:
コメントを投稿