2009年2月21日土曜日

大きな町の小さな五輪:バンクーバー冬季大会まで1年/2 「もったいない」徹底

(毎日 2月13日)

環境に配慮した大会を掲げるバンクーバー五輪。
アルペンスキーなどの舞台となるウィスラー市は、そのテーマの象徴的な場所。

ウィスラー、ブラッコム両山のすそ野にある人口約9500人の小さな街。
年間約220万人が訪れる北米最大のリゾート地として有名、
リサイクルが盛んなことでも知られる。
ゴミの分別は、缶を飲料と缶詰で分けるなど細かく、空き瓶の換金所も。
公設のリサイクルショップに、市民が不用品を持ち込む光景は日常的。

そんな「ウィスラーらしさ」が発揮された五輪施設が、
街の南部に市が建設中の選手村。
暖房システムにリサイクルの発想を取り入れた。
選手村内に、ウィスラー中の排水を集める浄水施設を造り、
浄化の際に発生する熱を利用して作った温水を、
建物全体に通したパイプに流して暖める仕組み。

他の暖房システムもあるが、室温を22度に設定した場合、
9割近くを「温水パイプ」でまかなうことが可能で、暖房コストは大幅に抑えられる。
ケン・メラメッド市長は、「エコロジーを考えた施設」
この選手村は、大会中は選手やコーチら約2800人が利用。
大会後に売却されるが、すでに220戸中160戸が成約済みで、
こちらの「リサイクル」も順調。

無駄を省く姿勢は、競技会場にも見られる。
アルペン会場は、既存のスキー場を使用。
新設されたジャンプ台やそり競技会場も、自然の地形の傾斜を生かした。
88年カルガリー五輪のジャンプ会場は、年間4億円以上の維持費がかかり、
市の財政を圧迫。
ウィスラーのジャンプ台は、大会後に取り壊される可能性もあるが、
自然の地形を利用したことで鋼材も少なく、
「すぐに元の地形に戻せる」(メラメッド市長)。

1月に行われたノルディック競技のテスト大会では、
大会事務局などはテント張りでトイレも仮設。
報道資料用の棚は段ボール。
五輪組織委員会の競技責任者、ティム・ゲイダさん(42)は、
「大会の前も後も、環境に悪影響を与えないことを第一に考えている」
五輪の前も後も、ウィスラーの風景は大きく変わらない--
それが関係者の理想。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/13/20090213ddm035050025000c.html

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