2009年2月18日水曜日

日経優秀製品・サービス賞 2008最優秀賞

(日経 1月5日)

2008年「日経優秀製品・サービス賞」の対象を決めた。
審査委員会(委員長・吉川弘之東京大学名誉教授)が選出したのは、
最優秀賞18点、優秀賞21点、審査委員特別賞1点。
最優秀賞のうち、産業用機器や消費財などで独創的、先端的な製品を表彰する
日経産業新聞賞には6点を選んだ。

選考では、世界規模で息の長い取り組みが求められる「環境」に
真正面から向き合った企業の製品やサービスが高い評価。
「安全・安心」の確保など、喫緊の課題に果敢に挑戦したり、
技術力や構想力を駆使し、常識を覆すような製品も多くの支持を集めた。

最優秀賞に入ったトヨタ自動車の「iQ」は、
全長が軽自動車を下回る超小型のボディーに、大人3人、子ども1人が乗れる。
燃費を改善し、CO2排出量を大幅に抑え、
低炭素社会の実現に向けた代表的な製品。

シリコン素材の使用量が少ない薄膜型太陽電池の生産を容易にした
アルバックの「薄膜太陽電池一貫製造ライン」も、
CO2の排出量抑制に貢献する製品。
代替フロンを使わない前川製作所の大型冷凍機「NewTon3000」なども
環境保全に効果的な製品として高い評価。

環境に並ぶもう一つの柱は、安全・安心。
セブン&アイ・ホールディングスの「セブンプレミアム」は、
プライベートブランド(PB)商品としては珍しく、製造元を明示。
三菱重工業は、高い精度でがんの放射線治療が可能な「MHI—TM2000」
健康意識の高まりに応えた。

サイバーダインは、高齢者らの動作を補助するロボットスーツ「HAL」、
ソニーは有機ELを使ったテレビ「XEL—1」を実用化、
これまでの常識を覆すことで驚きを与えた。
台湾のASUS(アスース)が低価格の「EeePC 901—X」で
「5万円パソコン」ブームを巻き起こした。

◆日経産業新聞賞
デジタルカメラ「LUMIX DMC—FX35」「同FX37」=パナソニック

被写体が人物か、花か、夜景かを自動的に判別し、
コンパクトデジタルカメラの課題だった失敗写真を大幅に減らせる。
超広角レンズを搭載、室内の集合写真など広く奥行き感がある写真を撮影。
後継機種のFX37は、動く被写体に焦点を合わせたまま自動追尾、
逆光を自動補正する機能を追加、両機種はデジカメの高機能化を先導。

◆高出力発光ダイオード(LED)電球「E—CORE」シリーズ
「ビームランプ100ワットクラス」など=東芝ライテック

LEDを光源とした電球シリーズ。
電子回路や反射板の設計など、電球全体の発光効率を高めた。
白熱電球に比べ、消費電力が抑えられる。
寿命も長く、廃材を大幅に減らすことができ、環境負荷の低減に。
白熱電球と同じ口金で、そのまま置き換えることができる。

◆スーパーカー「NISSAN GT−R」=日産自動車

排気量3800ccのV型6気筒ツインターボエンジンを搭載する
日本発の量産型スーパーカー。
主要部品はすべて専用に設計、エンジンなどは熟練技術者が
クリーンルームで手作業で組み立てる。
時速300キロメートル超の走行でも、車内で会話ができる静粛性を備え、
高い走行性能と使いやすさを両立。
777万—834万7500円と、同等性能のスーパーカーの半額以下。

◆有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビ「XEL—1」=ソニー

次世代薄型ディスプレーの1つ、有機ELを使ったテレビで、世界初の実用化。
画面サイズは11型、最薄部は約3ミリメートル、大幅に薄型化。
パネルそのものが発光し、液晶のように背面から画面を照らすライトが不要、
消費電力を抑え、深みのある黒色を表現できる特徴も。

◆ノンフロン化を実現した大型冷凍機「NewTon3000」=前川製作所

空気を冷やす冷媒に、代替フロンは使わず、アンモニアとCO2を採用。
自社開発の高効率モーターで、電気使用量も従来比で約3割削減。
安全性確保のため、アンモニアでCO2を冷却、CO2が庫内を冷やす
「間接冷却方式」とし、有害なアンモニアが庫内に漏れない。

◆ハイブリッド型油圧ショベル「PC200—8ハイブリッド」=コマツ

ディーゼルエンジンと電気モーターを併用したハイブリッドシステムを、
世界で初めて油圧ショベルの動力源に。
旋回したショベルに、ブレーキをかける際のエネルギーを、
モーターで電気に変えてキャパシター(蓄電装置)に蓄電。
これをエンジン加速時に活用し、従来に比べ燃費を25%削減。
キャパシターの基幹部品以外のハイブリッド関連部品は、すべて自社開発。

◆日本経済新聞賞
▽小型車「iQ」=トヨタ自動車

軽乗用車より約40センチメートル短い全長で、「大人3人、子供1人」が乗れる。
4人乗り乗用車で、世界最小級の大きさ。
後方衝突用エアバッグを、世界で初採用。高機能小型車として日欧市場を開拓。
CO2排出量を大幅に抑えた環境対応車。
燃費性能は、ガソリン一リットルあたり23キロメートル。価格は140万—160万円。

▽PB商品「セブンプレミアム」=セブン&アイ・ホールディングス

2007年5月から販売。
セブンプレミアムは製造元を明記し、安全・安心を重視する。
製造は大手メーカーに委託、小売り側が商品を企画し、独自ブランドで販売。
広告費をかけず、メーカー品よりも2—3割安い。
節約志向を追い風に、08年に入り販売が急拡大。
売上高は、09年2月期に2000億円弱の見込み。

▽がん放射線治療装置「MHI—TM2000」=三菱重工業

治療放射線(X線)をがん患部に照射する医療機器で、
ベッドに横たわる患者に対し、360度どこからでも放射線をあてられる。
従来装置は、ロボットの腕のような形。
放射線をつくり出す「加速管」を小型化し、
患者を囲むドーナツ状の装置への搭載を可能に。
医師が、X線映像で患部の位置を見ながら操作でき、
がん患部以外の健康な細胞への影響を小さくできる。

▽「薄膜太陽電池一貫製造ライン」=アルバック

原料を準備し電源を入れれば、簡単に薄膜型太陽電池を製造できる装置。
専門的な技術がない会社でも、導入すれば太陽電池の生産に参入。
台湾などで稼働実績がある。
太陽電池は、CO2を出さない次世代エネルギーとして需要が増え、
大量生産できる装置の普及は単価引き下げや市場拡大に貢献。

▽ロボットスーツ「HAL」=サイバーダイン

高齢者や要介護者といった筋力が衰えた人の動作を補助。
筋肉を動かす際の微弱な電気信号を、皮膚表面から読み取りコンピューターで制御。
着用者の体に負担をかけず、スムーズな動作が可能に。
08年10月、つくば市で世界初の量産工場を完成。
病院や介護施設向けに、下半身部分のリース販売を開始。
上半身部分は、09年度中に実用化。

◆日経MJ賞
▽郊外型ショッピングセンター「イオンレイクタウン」=イオン

08年10月、越谷市のJR武蔵野線越谷レイクタウン駅前に開業。
商業施設部分の面積は、約22万平方メートルと国内最大規模。
565の専門店を集め、ソーラーパネルなどを導入して環境面にも配慮。
開業から1カ月半で、約870万人が来場。売上高は計画を1割超上回った。

▽蒸気で目もとを温めるアイマスク「めぐりズム蒸気でホットアイマスク」=花王

鉄粉を含んだ紙に食塩水を加え、不織布などで包みアイマスク状に。
袋から取りだし、空気に触れると酸化し、
蒸気を含んだセ氏約40度の温熱を発する。
温められる時間は5—10分で、耳にかけられ場所を選ばずに使用。
目もとの疲れを抑える効果やリラックス効果を期待。
07年10月の発売後、1年間で約300万個を出荷。

▽衣料用液体洗剤「香りつづくトップ」=ライオン

洗濯後も、3日程度さわやかな香りが続く洗剤。
香りが残りやすいブレンド香料を開発、界面活性剤の工夫で衣類などに
香料の付着量が増える。
香りは、ハンガリー産ローマン種のカモミールを使った。
他の日用品でも、香り関連製品の需要が拡大、消費者の変化に対応。

▽第3のビール「クリアアサヒ」=アサヒビール

スッキリとした味と飲みごたえを両立させた第3のビール。
副原料に糖類を使わず、代わりにスターチなどを使うことで
後味に残る液糖の甘みをなくした。
発酵の工程の工夫で、クリアな後味を実現。
08年中に1000万ケース(1ケースは大瓶20本換算)の販売を目指し、
コンビニエンスストアでの価格が350ミリリットル缶で140円前後と安く、
味のバランスが評価されて12月には1300万ケースを超えた。

▽納豆「金のつぶ あらっ便利!」シリーズ=ミツカングループ本社

味付け用のタレをゼリー状にする技術を開発し、タレ用の小袋をなくした。
タレは、容器の仕切りの中に盛り、はしでつまんで納豆に混ぜる。
納豆の表面をフィルムで覆うのもやめ、食べる手間とごみを減らす。
「はがしたフィルムでテーブルが汚れる」、
「タレの小袋が開けづらく、飛び散ったタレで服を汚すケースがある」といった
消費者の声を受けて開発。

◆日経ヴェリタス賞
▽「がん長期サポート特約」=住友生命保険

がん患者の生活をサポートする商品。
住友生命の死亡保険の加入者なら、無料で契約に付加。
医師からがんの治癒が見込めないと診断を受けた場合に、
最大3000万円の保険金を受け取れる。
保険金の生前受け取りにより、医療費や生活費の負担軽減を目指す。
07年10月に販売、08年10月末で174万件の加入実績。
実際に97件、12億円の保険金を支払った。

◆ザ・ニッケイ・ウイークリー賞
▽パソコン「EeePC 901—X」=ASUS(アスース)

インターネットやメールに機能を絞り込み、5万円前後を実現した
低価格パソコンの火付け役「EeePC」の第2世代品。
液晶画面や解像度、記憶装置を大きくするなど初代品を改良。
バッテリー駆動時間が8時間超と長持ち。
08年7月の発売以来、米国や日本の大手が相次いで参入。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/award2008/awa090121.html

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