2008年3月16日日曜日

アカデミーへの期待

(サイエンスポータル 2008年3月10日)

日本学術会議が、研究評価のありかたについて、多面的に検討。
「科学技術政策の推進のための司令塔」と称する総合科学技術会議を、
「第三者評価機関ではない」と位置付けるなど踏み込んだ内容を含む。

「日本学術会議自身はどういう役割を果たすべきだ、と考えているのか」
という問いかけに、「科学新聞」記事が日本学術会議の“代わり”に、
こたえてくれていたよう。

「今回の提言の背景には、日本学術会議が第三者評価を行う機関に
なろうという意図がある」
「米国のナショナル・アカデミーズは、第三者評価を行う組織として社会的に
位置づけられ、学術会議がその任を担おうとする意欲は理解できるが、
まだその機能を発揮できるまでに体制が整備されていない」

ナショナル・アカデミーズは、全米科学アカデミー、
National Research Council、全米工学アカデミー、
Institute of Medicine(全米医学アカデミー)の4団体を指す。
核は全米科学アカデミーで、南北戦争の最中、1863年に
リンカーン大統領が署名して設立された非政府機関。
現在、会員約2,100人、外国人会員約380人、
約200人がノーベル賞受賞者という組織。
他の3機関を併せて、ナショナル・アカデミーズと呼ばれる。

全米科学アカデミーのホームページによると、
全米科学アカデミーの創立以来、米国の指導者たちは
科学的、技術的なアドバイスをこれらナショナル・アカデミーズに求め、
政府の枠外からのアドバイスが、しばしば政策決定に活かされている。
National Research Councilは、要請に対応するための組織として作られた。

日本学術会議が、米国のナショナル・アカデミーズのような機能を
発揮できるまでにはなっていない、という科学新聞の根拠は何か。
「事務局機能に大きな差があり、本当に第三者評価機関として
活動できるかどうかには疑問が残る」
「日本学術会議自体が政府機関であり、NPOである
ナショナル・アカデミーズとは位置付けが異なる。
同じ政府組織で、第三者評価といえるのかどうかといった疑問も」

政府にとって大いに頼りになるシンクタンクであり、
国民にとっては、政策が真に大多数の国民の福利に役立つものかどうかを
客観的にチェックしてくれる機関。

こうした役割を担うアカデミーが、日本にもできないものだろうか。
結局は、そのような社会の方が健全と考える人々が
多数を占めるかどうかにかかっている、ということなのだろう。

日本学術会議がその気になり明確に意思を発信することが、
まずは必要に見えるが。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0803/0803101.html

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