2007年11月19日月曜日

ピロリ菌が胃の細胞を延命 持続感染の仕組みを解明

(共同通信社 2007年10月11日)

胃がんや胃かいようを引き起こすとされるピロリ菌が、
感染を維持するために、胃の粘膜細胞の寿命を延ばしていることを
笹川千尋・東京大教授(細菌学)らが突き止め、発表。

ピロリ菌の感染が、長期間持続する仕組みの一端を解明した成果。
抗生物質が効かなくなった耐性ピロリ菌でも、
除去できる新しい治療法の開発につながるという。

笹川教授は、「感染の足掛かりとなる胃の細胞が脱落するのを
ピロリ菌が食い止めている。これは驚くべき作用だ」。

ピロリ菌は、胃粘膜の細胞に感染するが、
人間はそれに対抗するため細胞を次々に増殖させ、
役割を終えた細胞を"自殺"させて、
2-3日で表面の細胞を入れ替える防御機構を備えている。

ピロリ菌に感染すると、人間と同様の症状を起こすスナネズミで実験。
細胞死を促す薬剤を経口投与したところ、ピロリ菌に感染したネズミでは、
細胞死が感染していないネズミの約半分。

ピロリ菌が分泌する病原性タンパク質CagAに着目。
CagAを分泌しないピロリ菌を人工的に作り、感染させると、
全く感染していないネズミと同程度の細胞死が起こることも確認。
胃の細胞内に分泌されたCagAが、細胞死を抑える物質の働きを高め、
細胞が延命されたとみている。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=57379

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