2008年8月23日土曜日

糖尿病リスク低減のための食事に関する注意事項

(WebMD 7月28日)

糖尿病は米国で増加しつつあり、3件の新規研究では、
食事が2型糖尿病発現の可能性に影響を及ぼすかが浮き彫りに。

各研究では、食事の異なる面を取り上げている。
糖尿病のリスクは、炭酸飲料や加糖フルーツ飲料を多く飲み過ぎると高まり、
果物や野菜の摂取量を増やせば低下し、
脂肪の摂取量には影響されない。

カロリーの問題は、避けて通れない。
カロリー収支を誤れば、体重が増えて2型糖尿病に罹りやすくなる。

デューク大学医療センターのMark Feinglos、Susan Tottenは、
「カロリーが他の何よりも重要であるということを前提とすべきで、
糖尿病のリスクの高い若年者においては、
2型糖尿病の新規症例を減らすための1番の目標は、
高エネルギーで利益の少ない食物の摂取を減らすこと」

◆甘味飲料によるリスクの上昇

最初の研究では、甘味炭酸飲料およびフルーツ飲料は
アフリカ系米国人女性における2型糖尿病のリスク上昇につながる。

アフリカ系米国人女性約44,000名を対象、1995-2005年に追跡調査。
研究の開始時および2001年に、食事調査に記入。
研究の開始時点では、糖尿病のある者は1名もなかった。
10年後、2型糖尿病の新規症例2,713名が報告。

普通の清涼飲料水を、1日に2本以上飲んだ女性は、
飲んだ清涼飲料水が1カ月に1本未満であった女性に比べ、
2型糖尿病と診断される確率が24%高い。
炭酸飲料を飲んだ人におけるリスク増加の一部は、
体重増加によって説明される。
1日に加糖フルーツ飲料を2本以上飲んだ女性は、
1本未満の女性に比べ、2型糖尿病と診断される確率が31%高い。

ボストン大学のJulie Palmerらは、加糖フルーツ飲料は
「清涼飲料水に代わる、より健康的な飲み物として市販されている」が、
そのカロリーは少なくとも普通の炭酸飲料と同程度。

ダイエット炭酸飲料、オレンジジュース、グレープフルーツジュースは
糖尿病のリスク上昇にはつながらない。
オレンジジュースやグレープフルーツジュースに含まれる天然糖は、
普通の炭酸飲料やほとんどの甘味飲料に添加される異性化糖とは
代謝効果が異なる可能性がある。

◆飲料業界の反応

米国における非アルコール飲料の製造・流通を行う業界団体である
米国飲料協会(American Beverage Association)の
科学政策担当上級副社長Maureen Storeyは、
「2型糖尿病は、特にアフリカ系米国人女性において重要な
公衆衛生上の問題という点には同意するが、
飲料の消費が同疾患のリスク因子として確定されているわけではない

この研究は、体重を減らそうとしている女性は、
普通の炭酸飲料からダイエット炭酸飲料に切り替えれば、
減量が容易になることを推奨。
Storey博士は、フルーツ飲料の消費と2型糖尿病との関連が
「非常に弱いか、または存在しなかった」ことから、
「これらの飲料を避ければ、糖尿病のリスクには影響がない」。

この研究では、全エネルギー摂取、被験者があらゆる摂取源から
摂取した全カロリー数について管理したかどうかは明らかではない。
エネルギー摂取量(消費したカロリー)とエネルギー消費量(燃焼したカロリー)
との間の不均衡は、体重増加につながる可能性があり、
「家族歴を除けば、2型糖尿病発現の最も重要な因子」

◆果物と野菜は糖尿病のリスクを低下させる可能性がある

別の研究では、果物と野菜の摂取量を増やせば、
糖尿病のリスクが低下する可能性がある。

この研究は、ノーフォーク州(英国)の成人約22,000名を対象。
研究開始時に、診察を受け、血液検体を採取、食事と生活習慣の調査票に記入。
その後の12年間に、735名が糖尿病を発現。

ビタミンサプリメント摂取といった他の生活習慣因子について調整し、
糖尿病の診断は、ビタミンC血中濃度最高群では62%少なく、
果物・野菜摂取量最高群では22%少ない。
ビタミンC濃度最高群は、果物および野菜を1日に5-6皿食べていた。

Addenbrooke's病院(英国、ケンブリッジ)のAnne-Helen Hardingは、
「果物と野菜は、ビタミンCの主要な摂取源で、
果物と野菜を少量でも摂れば有益な可能性があり、
糖尿病に対する保護効果は果物と野菜の消費量とともに徐々に増大」

◆低脂肪食には影響力がないか?

3番目の研究は、低脂肪食が閉経後女性の糖尿病リスクを低下させるか?
しかし、それは無理であることが明らかに。

米国の閉経後女性約46,000名を対象。
フレッド・ハッチンソン癌研究センター
(Fred Hutchinson Cancer Research Center、シアトル)の
Lesley Tinkerらは、これらの女性を2群に分けた。

1群には、1日のカロリーに占める食事中脂肪の割合を、
研究開始時点の約38%から20%まで減少。
集中的な栄養・行動カウンセリングを受け、
定期的なグループミーティングに参加し、低脂肪食の目的を達成する助けに。

他群の女性には、食事中の脂肪を減らすように指示をしなかった。
連邦政府の栄養ガイドラインを記したパンフレットを配布、
カウンセリングやグループミーティングは行わなかった。
いずれの群の女性にも、減量や運動量の増加を要求しなかった。

この研究は約8年間継続され、糖尿病と診断された率は両群とも等しかった。
Tinker博士のチームは、運動や減量をせずに食事中の脂肪量を減らしても、
糖尿病リスクの抑制には不十分。

低脂肪群の女性は、脂肪量を減らしたが、指示された量には達していない。
食事調査から、研究開始1年後に、低脂肪群の女性は1日のカロリーの
約24%を脂肪(ほとんどが飽和脂肪)から摂っており、
研究6年目までに目標の20%を超えて約29%まで上昇。
体重の傾向は両群とも同様で、低脂肪群の女性は
当初平均5.3ポンド(約2.4kg)の減量を示したが、
研究の終了時点までに減量体重のほとんどを取り戻した。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=78530

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