2008年9月27日土曜日

エレベーターで宇宙に行けるかも 東京で今秋国際会議

(朝日 2008年9月19日)

「上に参ります。次の階は宇宙でございます」――
長さ約10万キロのケーブルをよじ登って、ロケットを使わず、
そのまま宇宙へと飛び出す「宇宙エレベーター」の研究団体が日本で結成。
海外の研究者を招き、11月に第1回国際会議を東京で開催。

従来は、SFの世界の乗り物とみなされてきたが、
ナノテク新素材の開発によって実現の可能性が見えてきた。

宇宙エレベーターとは、赤道の上空、高度約3万6千キロに浮かぶ
静止衛星から地上に向けてケーブルを垂らし、それをガイドとして利用、
宇宙との間を昇降するエレベーター型宇宙船のこと。
バランスが取れるように、静止衛星から地球と反対方向の宇宙にも向けて
ケーブルを伸ばすため、その総延長は月までの距離の約4分の1に。

ケーブルは、静止衛星と共に宙に浮いた状態となるので、
よじ登っても落ちてこない。

地球の重力を脱出する燃料がいらないので、宇宙旅行のコストが
約100分の1になると見込み。総建設費は、約1兆円の予定。

SF作家の故アーサー・C・クラークが、小説「楽園の泉」で紹介して
有名になったが、実現は不可能に近いと考えられてきた。
どんな素材でもその重さに耐えきれず、ケーブルが途中で切れてしまうから。
計算上は、鋼鉄の約180倍もの強度が必要。

日本宇宙エレベーター協会会長で、IT会社社長の大野修一さん(40)は、
軽くて強いカーボンナノチューブが開発され、
必要強度の約4分の1の強さの繊維がすでに造られている。
米国では、米航空宇宙局(NASA)が賞金を出すコンテストも開かれている。
大野さんは、「海外旅行感覚で、誰でも宇宙にいけるようになる。
放射性廃棄物の太陽への投棄や、太陽光発電衛星の設置など
いろいろな利用案も出されている」。

約50人の会員の中には、大学教授や宇宙関連産業の技術者も。
来年には、ケーブルを昇る模型の速さを競う国内大会を開催する計画。

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