2011年3月13日日曜日

教員の研修(6)学生サークルで授業力

(読売 2月26日)

教員志望の学生ら約20人が集まっていた。
玉川大学の教室。

模擬授業サークル「和(なごみ)」のメンバーたちが、
国語や算数、英語など様々な教科のプリントや教材を配り、
順番に教壇に立って、5~10分程度の“ミニ授業”を展開。

「先生の同級生が、車でひき逃げをして、女性を死なせてしまいました」
ある男子学生は、道徳の授業の題材として、自身の経験を紹介。
「その同級生は、『気付かなかった』とウソをついてしまった。
みんなはどう思いますか?」

「はい、そこまで」。
指導する谷和樹准教授(46)が、授業を止めて講評。
「教師が実体験を語る場合は重くなってしまい、
児童たちの心に残り過ぎてしまうことも。
気を付ける必要があります」

同サークルは、2年前に結成。
週に1回勉強会を行い、月に1度、谷准教授の指導を受ける。
算数でのグラフの使い方、国語の音読でのリズムの取り方……。
小学校教員として、約20年の経験を持つ谷准教授が、
まず学生たちに授業をさせた後、自身の指導法を披露し、
培ってきた技術を伝授していく。

代表で、同大3年の中沢由里子さん(22)は、
最初は模擬授業でも、緊張で足が震えたが、続けるうちに慣れた。
「子ども好きというだけでは、良い先生にはなれない。
学生が授業をする機会は多くないので、できることをすべてやり、
授業がうまくなりたい」

授業力を鍛える学生サークルが、各地で活発化。
教育実習が、小学校でも4週間程度と短いことなどが背景。
現職教員らでつくる教育研究団体「TOSS」の学生サークルだけでも、
北海道から沖縄まで47サークルを数える。

TOSSでは昨年度から、学生たちの授業力を競う
「模擬授業インカレ」を開催。
どれだけ聴衆を熱中させたか、などが勝敗の基準で、200人以上参加。

新年度から小学校教諭になる「和」前代表の同大4年、
吉岡里那さん(22)は、2年連続で全国大会出場を決めた。
「授業の力を比べることに、最初は違和感があった。
今は勝ち負けより、頑張っている人たちがこんなにいるんだ、と
大きな刺激を受けています」

自主的な研修が、学生たちのやる気を生み出している。

◆模擬授業インカレ

正式名称は、TOSS学生模擬授業全国大会。
地方予選に、各大学の学生が参加。
授業開始15秒のつかみや目線、リズムなどTOSSの授業技量検定に
基づいた基準で優劣を競う。
予選で好成績の学生5人が1チームを結成し、全国大会に出場。
今年度は、3月12日、江戸川区総合文化センターで行われる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110226-OYT8T00201.htm

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