2007年10月27日土曜日

「賢い患者になる」「健康食品」 <2>

(共同通信社 2007年8月14日)

医療の場で治療効果を高め、回復を助ける食品こそ、
本来の健康食品といえる。
藤田保健衛生大七栗サナトリウム(津市)の東口高志教授は
「栄養管理はすべての治療の基本となる医療」。

医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、検査技師らの
栄養サポートチーム(NST)が、患者のデータが表示されたパソコンを囲み、
今後の栄養管理の方針を確認。
大学病院初の緩和ケア病棟など、
計218床の全患者についてNSTが栄養状態を把握。
必要な栄養をどうやって摂取していくか計画を立て、
病状や回復程度に合わせて細かく調整していく。
東口教授は、「NSTが栄養管理をすることで患者の回復が早く、
入院日数が短縮される。その結果、医療費も削減できる」。

入院してくる患者には、タンパク質などの栄養素が不足していることが多く、
特に高齢者に栄養不良が多い。
栄養不良の状態では治療の効果がうまく現れなかったり、
手術後に感染症などの合併症になる率が高い、
床ずれができやすいなど、多くの問題がある。

しかし、治療の初めから患者が必要な栄養を摂取することで回復が早まり、
患者の生活の質(QOL)も高まる。

早く口から栄養をとることも重要。
「入院したら点滴で栄養補給」というイメージがあるが、
点滴よりも腸から栄養を吸収することで腸の機能が維持され、
全身の状態がよくなる。
患者に合わせて、成分や濃度の異なる医療用栄養剤などを使い、
早く通常の食事ができるようにしていく。

バニラ味、コーヒー味など味に工夫した医療用栄養剤、濃厚流動食など、
さまざまな製品が開発されているほか、
国外からは特定の疾患治療や予防用の栄養剤などの導入も。

「高齢社会では、特に栄養管理が重要だ」と指摘。
高齢者は、食事の量が不足したり、好みの偏り、嚥下障害などで
気付かぬうちに栄養不良に陥りやすい。
「地域の医療、介護を通して高齢者の栄養管理を支援する仕組みが必要」。

がん患者には、いわゆる「健康食品」の利用者が多い。
「米食品医薬品局が認可しているものから、成分不明のものまである。
摂取して栄養素が過剰になったり、逆に不足することもあるので、
医師やNSTに相談してほしい」とアドバイス。

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栄養サポートチーム(NST)

日本では、1998年に全入院患者を対象とするNSTが初めて本格的に導入。
昨年、栄養管理に診療報酬が認められたことにより、
現在では1000以上の施設に設置。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=52371

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