2008年3月9日日曜日

新しい波/261 陸上・実業団選手登録/5

(毎日 2月23日)

女子長距離の強豪チームの一つに、セカンドウィンドAC(SWAC)がある。
昨年の世界選手権大阪大会女子マラソンで6位の嶋原清子、
昨年の北海道マラソンを制した加納由理ら実力者がそろい、
戦力的には有力実業団チーム並み。

だが、実業団の駅伝や選手権大会には出ない。
企業に所属するチームではなく、日本実業団陸上競技連合にも登録していない。

SWACは、川越学監督が昨春、全日本実業団対抗女子駅伝も制した
資生堂の監督を辞めて創設。
「限られた選手だけが走れる企業チームと違い、
意欲のある人ならレベルや実績を問わず誰でも走れる環境を作りたい」
という狙いのクラブチーム。
資生堂から嶋原ら4人の選手も一緒に移籍。
スポンサー探しや、市民ランナーの会員を募って指導するなどの
苦労もしながら競技を続ける。

企業チームの多くは会社の意向で、社名の露出が多い実業団駅伝で
好成績を出すことを重視。
川越監督は、「企業が恵まれた環境を提供してくれるのは、
実業団駅伝があるからこそ」と、駅伝重視のチームのあり方に意義。

だが、異なる方向を目指すSWACは、駅伝へのこだわりがない。
実業団への登録も考えなかった。
「駅伝に出なくていいなら、実業団登録の必要性も感じない。
日本陸連への登録だけで出場できる大会はいくらでもある」。
嶋原や加納もこの1年は、北京五輪を目指し、
以前なら駅伝向けの練習をしていた時期に、マラソンに向けた練習に専念。

世界選手権女子一万メートルに出場した絹川愛=宮城・仙台育英高=は、
今春からミズノに進む。
室伏広治や末続慎吾ら一般種目の有力選手が多いチームだが、
長距離選手は初めて。
実業団入り後も、絹川の指導を担う渡辺高夫・仙台育英高監督は
「駅伝にとらわれず、個人のレースや練習に集中できる。
世界で戦うためにはその方がいい」と進路選択の一因を説明。
従来の実業団長距離のあり方とは異なるスタイルで勝負。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20080223ddm035050168000c.html

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