2008年3月9日日曜日

HOPEミーティング:ノーベル賞受賞者と若手研究者が交流--茨城・つくば

(毎日 3月2日)

アジア・太平洋地域から選ばれた大学院生とノーベル賞受賞者らが
語り合う第1回「HOPEミーティング」が、つくば市で開かれた。

アジアの科学技術発展のため、若手研究者を育成することが狙い。
中国、インド、韓国など13カ国から博士後期課程の81人が参加。
江崎玲於奈博士は、「アジアの大学もレベルが上がってきた。
今後は科学技術振興のために、相互交流や協力が必要。
この会合はその枠組みになる。科学のスピリットを学んでほしい」。

HOPEミーティングは、講演だけでなく、講師を含んだグループ討論や
施設見学などを5日間にわたり行うことが特徴。
アラン・ヒーガー博士は、「研究とは、発見と創造性の組み合わせ
私は、この点を若い研究者に伝えたい」。
白川英樹博士は、「いろんな人に出会い、話をすることが大切。
科学は細分化されてきたが、このままではやっていけない。
自分の専門以外に何があり、自分がどこにいるのかを知る必要がある
この会合が、そういう場になってほしい」。

ノーベル賞受賞者が、若手研究者に接する試みは例がない。
ハインリッヒ・ローラー博士は、「若い人は自分が学びたいことを学ぶべき。
ここではいくつかのアイデアを提供する。
そこから何を学ぶかは若手研究者次第。
学ぶために、まず学ぶことが必要だといえる」。
ヒーガー博士は、「若手に学んでもらいたいことは、
科学はリスクに満たされているということ。
論文を書くことは、これが正しいと理解したと世界に示すことでもある。
新しいことをやるにはリスクが伴い、リスクをとることは科学を楽しむこと」。

アジアの科学技術レベルについて江崎博士は、
「科学者は二つに分かれる。リーダーとフォロワー。
日本は忠実で立派なフォロワーだが、このままでは限界。
リスクをとるのがリーダーで、
本当のリーダーとなるようなアジアの研究者をつくりたい」。

ロバート・ラフリン博士は、「科学技術において、
欧米とアジアの競争力の差はすでにない。
違いがあるとすれば、経済的な支援。
研究者に対する報奨金などが欧米では充実している」。
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◇江崎玲於奈
1925年生まれ。半導体におけるトンネル効果の実験的発見により、
73年ノーベル物理学賞。茨城県科学技術振興財団理事長

◇白川英樹
1936年生まれ。導電性プラスチックの発見と開発により、
00年ノーベル化学賞。筑波大名誉教授

◇アラン・ヒーガー
1936年生まれ。導電性プラスチックの発見と開発により、
00年ノーベル化学賞。米カリフォルニア大教授

◇ロバート・ラフリン
1950年生まれ。量子流体の理論解明により、
98年ノーベル物理学賞。米スタンフォード大教授

◇ハインリッヒ・ローラー
1933年生まれ。走査型トンネル電子顕微鏡の開発により、
86年ノーベル物理学賞。元IBMチューリヒ研究所フェロー(スイス)

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/03/02/20080302ddm016040090000c.html

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