2008年3月10日月曜日

新しい波/262 陸上・実業団選手登録/6

(毎日 3月1日)

日本実業団陸上競技連合では、
選手登録に関する規則の見直し作業を進めているが、
4月からの新年度の登録には間に合わない状況。

問題を難しくしている要因は、選手の所属形態の多様化だけでない。
強化に対する考え方の違い、強化と普及という相反する要素の混在

強化の対象は誰か、という考え方が、指導者や企業によって異なる。
有力長距離チームの指導者には、
実業団から世界で戦える選手を育てようという意欲も強い。
日本陸連の強化委員でもある河野匡・大塚製薬監督は、
「責任を持って選手を育てるため、実業団全体で(登録に関し)
一定の条件や規則があってしかるべき」。

だが、あるチームの部長は、「自社の勝利を第一に考えるのは当然。
日本の強化に利用される筋合いはない」、
登録規定もできるだけ緩和すべきだと主張。

この発想は、駅伝の外国人起用制限に関する議論とも関連。
実業団連合の強化委員会では、
「外国人に依存するチームの増加は、日本人のレベルアップを妨げる」
などの理由で、06年から外国人起用の撤廃を提案。
しかし、07年の理事会で否決。
外国人に関しては十数年来の議論が続くが、結論が出ず、
その間にも人数が増えている。

長距離以外の種目では、実業団登録選手が減っている。
東日本連盟が開く東日本実業団選手権では、
92年に873人いた参加者が、01年に578人まで減少。
人数が少なく大会の体をなさない種目もあり、
04年から実業団登録をしていない一般選手も受け入れ、700人台まで回復。

東日本連盟の大平達夫事務局長は、
「専門学校やクラブチームの選手も受け入れた『社会人』に
枠組みを変えることも検討しないと実業団は衰退する」。
だが、他地区には「実業団は企業対抗」という考え方が根強く、
登録の対象を広げることに難色を示す。
実業団連合のある理事は、
「一度実業団を解体できれば話は早いが、そうもいかない」。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

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