2008年3月1日土曜日

岩手・久慈保健所管内で4年連続自殺者数減 相談充実でうつ早期発見

(毎日新聞 2008年2月25日)

県久慈保健所管内の人口10万人あたりの自殺者数
(自殺死亡率)が4年連続で減少。
県内の自殺者数は横ばいで推移する中、県立久慈病院を中心とした
自殺対策が成果をあげてきた。

精神科医を務めた星克仁医師(現・岩手医大助教)は、
「交通事故や火災予防にかける予算・人数に比べ、
自殺対策は圧倒的に少ない」。

県全体の自殺死亡率は、02年35・6、03年37・8、04年34・6、
05年と06年はともに34・1。
久慈地区は、取り組みが本格化した04年の57・9から、
05年49・2、06年40・9と急減。
07年は、3年前の半分ほどになる見込み。

久慈地方は、06年の北日本造船(本社・青森県八戸市)による
工場新設を除き、目立った景気回復はなく、
経済状況が自殺者減の要因とはいえない。

県立久慈病院は、精神科医として初めて星医師が赴任した03年から
自殺予防の体制づくりを開始。
看護師の1人を「リエゾンナース」とし、院内や地域の病院の看護師と
精神科医を結ぶ役割を担ってもらう。
先行研究によると、うつ病患者の6割は内科で初診。

リエゾンナースは精神科に限らず、患者や家族の相談に乗り、
うつ病の早期発見につなげる。

03年から翌年までに久慈病院精神科で相談を受けた272人のうち、
163人は精神科通院歴がなく、
全体の31・6%は看護師や保健師の紹介による受診。
また、地区の看護師を、悩み相談に応じる「こころのケアナース」として養成。
相談窓口の職員だけでなく、薬剤師や介護士、消防職員ら
実務担当者による連絡会も04年以降、毎月開いてきた。

全住民に医師が応対するのは不可能なので、
うつ症状や対応策を紹介するDVDや紙芝居を手弁当で制作。
民家などで小さな集会を開き、数百回上映。

星医師は、「『久慈方式』をマッサージに例えれば、
つぼを押すのではなく患部全体をもみほぐすイメージ。
減少したといっても、まだ対策は必要」。
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◇自殺死亡率
人口10万人当たりの自殺者数で、厚生労働省の人口動態統計をもとに算出。
岩手県は06年34・1、秋田県に次ぎ全国で2番目に高い。
県保健福祉計画では、10年までに06年の全国平均23・7に下げる目標。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=68111

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