2007年9月21日金曜日

過労、ストレス、パワハラ… 自殺予防を考える/2

(毎日新聞社 2007年9月12日)

「過労、ストレス、パワハラ……。
多くの労働現場は、うつ病にならない方がおかしいような状況だ。
休職期間に治癒せず、職を失って生活困窮から死を選ぶケースも多い」。
NPO法人「働く者のメンタルヘルス相談室」(大阪市)の伊福達彦理事長は指摘。

同室が今夏開いた「想いを語る会」で、遺族が胸中を明かした。
慣れない営業職で、売り上げが少ないと責められ自殺した中年男性、
月130時間の残業とパワハラで自殺した20代の男性……。

昨年11月に自殺した会社員、大橋均さん(当時56歳)の妻錦美さんは、
C型肝炎ウイルスに感染した均さんが十分な治療を受けられず症状が悪化し、
退職を強要されうつ病を発症、自殺したとして会社を提訴した。
「心身ともに弱り果て、私自身、明日はあるのかなという思いだった」。
会場から嗚咽が漏れた。

福利厚生が不十分な中小企業の社員、派遣先の制度を利用できない
派遣労働者を取り巻く環境は、大企業よりさらに深刻だ。
東京都内の中小企業で、1割の従業員が過去1年間に自殺を考えたことが判明。
抑うつ状態とみられる人は、4人に1人の割合。

農林水産省の小規模な外郭団体に勤務していた女性(33)は、
「産業医はおらず、メンタルヘルスの概念もなかった」。
過労などで休職し、復帰直後に責任ある仕事を任せるなど、
無神経な対応を受け再び休職。その後、職場には復帰できなかった。


システムエンジニアの派遣労働者だった男性(31)は、
派遣先の大手金融機関の上司に
「カウンセリング室を使えるのは正社員だけ」と切り捨てられた。
労働時間は月320時間に達したが、収入は同じ仕事をする正社員の半分程度。
仕事のない月も多く、過労に将来への不安が重なりうつ病に。
診断から1週間後、解雇された。
「派遣労働者には有給休暇さえない。
メンタルヘルスの問題以前に労働環境を改善してほしい」。

昨年10月施行の自殺対策基本法は、
事業主の努力義務に労働者の心の健康保持を課す。
しかし、約7割の事業所が「メンタルヘルス対策が必要」としながら、
実施している事業所は約2割に。

伊福理事長は、「労働現場でのうつの問題に
真正面から取り組まなければ、自殺は減らない」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=54669

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自殺は、もはや家族だけで解決できる問題ではないです。
社会全体で取組まなければならない。
対処療法としては、カウンセラーによるメンタルヘルス対策。
根本的には、職場環境をいかに整備させるか、
生活環境をいかに充実させるか、を考えなければなりません。
仕事の効率化を図るとと同時に、社員の労働意欲を高める努力を、
企業は押し進める必要があります。
企業にとっても、自殺者を出すような環境では生き残ることはできないでしょう。

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