2007年11月28日水曜日

概日リズム睡眠障害の管理に関するガイドライン

(Medscape 11月5日)

米国睡眠医学会(AASM)は、概日リズム睡眠障害(CRSDs)の
臨床評価と治療に関する診療パラメーターを発表。

AASMの診療標準委員会(Standards of Practice Committee)の
Timothy I. Morgenthalerらは、
「概日リズム睡眠障害(CRSDs)に関する臨床研究の文献が増え、
AASMは特別作業部会を招集し、レビューを作成した。


診療パラメーターは、2つの付随する包括的レビューに基づいて、
CRSDsの評価と治療のための勧告を提示。

主な診断ツールは、睡眠記録、アクティグラフィー、
朝型~夜型質問紙調査(Morningness-Eveningness Questionnaire:MEQ)、
生物学的フェーズマーカー(biologic phase markers)、睡眠ポリグラフ計」。

付随レビューは、2部から構成。
第1部は、概日リズム生物学の概要と「外因性」CRSDs
(交代勤務睡眠障害、時差症候群)について、
第2部は、「内因性」CRSDs(睡眠相前進症候群、睡眠相後退症候群、
不規則睡眠覚醒リズム、非24時間睡眠覚醒症候群 [非同調型] または
自由継続型)について。

両レビューは、2006年10月までに発表された科学文献を要約したものであり、
Oxford System for Evidence-Based Medicineに準じてエビデンスを評価。

AASMの診療標準委員会は、スタンダード(確実性が最も高いレベル)、
ガイドライン(中間レベル)、オプション(最も低いレベル)の治療勧告のレベルを決定。
改正診療パラメーターでは、アクティグラフィー、光線療法の使用が取り上げられた。
各勧告は次の通り。

* CRSD疑いの患者の評価には、睡眠記録、日記を使用(ガイドライン)。
* CRSDs疑いの患者の評価の一助として、アクティグラフィーが使用。
どのCRSDかにより、勧告の強度は「オプション」から「ガイドライン」まで。
* CRSDsの診断には、睡眠ポリグラフ計は使用されない。
しかし、別の原発性睡眠障害の可能性を除外するためには、
睡眠ポリグラフ計が必要な場合も(スタンダード)。
* CRSDsの通常の臨床評価について、MEQの使用が妥当と言えるほどの
十分なエビデンスは得られていない(オプション)。
* 目の見える患者、見えない患者に、概日周期を判定し、
自由継続型睡眠障害の診断を確定するには、生物学的周期マーカーは有用。
交代勤務睡眠障害、時差症候群、睡眠相前進障害、睡眠相後退障害、
不規則睡眠覚醒リズムの診断に、十分なエビデンスはない(オプション)。
* CRSDs治療に、アクティグラフィーは有用な評価尺度(ガイドライン)。
利用できる治療法には、計画的睡眠スケジュール(planned sleep schedules)、
定時の光照射、定時のメラトニン投与、睡眠剤、精神刺激剤、覚醒薬。
* 睡眠スケジュールは、時差症候群、交代勤務睡眠障害、睡眠相後退症候群、
睡眠相前進症候群、不規則睡眠覚醒リズム、自由継続型睡眠障害に使用(オプション)。
* 定時の光照射は、概日障害に使用、奏効度は各診断によって様々(オプション)。
* メラトニン投与は、目の見える患者における交代勤務睡眠障害、
睡眠相前進障害、自由継続型睡眠障害(オプション)、
目の見えない患者の時差症候群、睡眠相後退障害、自由継続型障害(オプション)、
精神運動発達遅滞児における不規則睡眠覚醒リズム(オプション)に使用。
* 夜間勤務者における日中の睡眠を促進または改善に、睡眠剤を用いる(ガイドライン)。
* 時差による不眠の治療には、睡眠薬を用いることも可能(オプション)。
* 精神刺激薬は、時差症候群、交代勤務睡眠障害における覚醒を
改善するために用いる(オプション)が、リスクがあり、慎重な検討が必要。
* 交代勤務睡眠障害患者には、夜間勤務中の覚醒を改善するために
モダフィニル(modafinil)を用いる(ガイドライン)。

「睡眠障害は、内因性と外因性に分類されるが、
各障害の生理学的基盤はそれほど外科的に分かれていない。
内因性因子と外因性因子との組み合わせが各障害を発現させている」。

Sleep. 2007;00:000-000.

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